中小企業家同友会では
「人間尊重の経営」を実践し、
企業と地域が多様に連携しながら、
持続可能な開発目標の実現に取り組み、
ワクワクする未来社会の創出をめざしています。

同友会とは

中小企業家同友会は、中小企業の経営を守り、共に団結していこうという趣旨から1957年に発足。以来、共創する活動に取り組み、1975年には「中小企業における労使関係の見解(以下、労使見解)」を発表し、「人間尊重の経営」を実践することが企業の維持・発展に不可欠であるとの考えのもと運動を展開してきました。
また、未来に向けた新しい企業像を追求し続け、2019年には「同友会運動の将来展望(10年ビジョン)」を発表。中小企業の「めざしたい姿」として【Vision2020】を公示しました。各会員自らが同友会理念の体現をめざすと同時に、Vision2020の実現に向けて、地域や日本、世界への連帯ネットワークを広げ、人間尊重の経営の推進に努めます。

同友会の理念

Philosophy

01. 同友会の3つの目的

1

よい会社をつくろう

同友会は、ひろく会員の経験と知識を交流して、企業の自主的近代化と強靭な経営体質をつくることをめざします。


2

優れた経営者になろう

同友会は、中小企業家が自主的な努力によって、相互に資質を高め、知識を吸収し、これからの経営者に要求される総合的な能力を身につけることをめざします。


3

経営環境を改善しよう

同友会は、他の中小企業団体とも提携して、中小企業をとりまく、社会・経済・政治的な環境を改善し、中小企業の経営を守り安定させ、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします。

02. 自主・民主・連帯の精神

自主・民主・連帯の精神は、同友会運動の歴史の中で、その意味が吟味され練り上げられてきたものです。これは、同友会運動の基調というよりも、家族、企業、社会など、あらゆる組織、人間集団のあり方を示す普遍性をもっています。自主・民主・連帯の考え方に基づく企業づくりは、人間らしく生き育つ「人間尊重の経営」をめざすことです。

03. 国民や地域と共に歩む中小企業

  • ・ 豊かな国民生活の実現に貢献するものであり、企業活動は反社会的、反国民的であってはなりません。
  • ・ 中小企業の社会的使命は、優れた製品やサービスの創造、提供を通じて、人々の暮らしの向上と雇用の拡大を図り、地域経済の繁栄に尽くすことです。
  • ・ 中小企業は地域経済進行のために活躍することが期待されており、同友会はその中心となって活動を進めることが必要です。

人権尊重の経営

同友会理念にある「自主・民主・連帯の精神」に基づき、
創意や自主性が十分に発揮できる環境を確立し、人を大切にする企業づくりを推進。
地域社会と有機的につながりながら、活力に満ちた未来の創出をめざします。

人を生かす経営の実践をしよう!

社員やその家族はもとより、将来社員に迎えるであろう若者や、地域社会の人々から見てもいい会社として認められるような理想像を描きましょう。
経営ビジョンは、事業活動に限定されず、人、地域、社会の課題にまで視野を広げ、同友会での学びを実践的に活かしましょう。

地域の人が生きる経営をしよう!

地域に暮らす様々な人にも目を向け、多様な可能性を見出し、人や環境の現在と未来にまで思いを馳せて人を生かす経営を実践しましょう。
誰もが安心して暮らすことができ、夢や希望を持って自己を実現できる理想の地域社会を創りましょう。

経営者としての総合的な実践力を高めよう!

盤石の体制を築いて経営を維持発展させながら、地域からの期待に応える企業にするために、経営者としての実践力を総合的に高めましょう。
そして、経営に役立つ知識や技術を次世代に引き継ぎ、未来の地域を支える企業となる経営者を育てましょう。

地域とのかかわりを持とう!

地域と企業が共存関係にあることは、中小企業は地域の未来にとって不可欠な存在として発展していきます。
改めて地域との関係を見直し、経営者自らが意識改革を図ってかかわりを持ちましょう。地域の主体者の一員であることを意識して行動しましょう。

未来や見えざる領域に思いを馳せる力を持とう!

足元から考え、地域で行動し、地球規模で連携しようという「SDGs」の取り組みをヒントに、地域に密着したローカルな課題を広い視点で捉えましょう。
空間や時間を超えたモノ・コトに目を向け、様々な立場や考え方の人と交流して未来へのビジョンを共に創り上げていきましょう。

Vision2020

スローガン

変化の先へ踏み出そう!
〜多様な未来に思いを馳せて~

変化の先を想像し、企業の発展に繋げて、
ワクワクする未来を自らが切り拓いていく

めざしたいワクワクする未来社会像

  • ・すべての人々がいつも笑顔で働くことができる社会
  • ・次代を担う若者が積極的に起業しようと思える社会
  • ・地域の人々と企業が連携して共に輝く社会
  • ・企業の大小にかかわらず働く人々が恵まれる社会
  • ・子供たちが未来に向けて豊かな発想を醸成する社会

01

SDGs

持続可能な社会への貢献に向けて、
環境経営を実践した事業活動に取り組んでいます。

わが社のSDGs、こんな未来をつくりたい!

山陽製紙(株)原田六次郎
大阪南ブロック/かんくう支部(環境経営部会部員)

再エネ100宣言RE Action、高度排水処理設備も建設

SDGs17の目標の中でも特に力を入れていることは、「(12) つくる責任 つかう責任」です。 当社は、製袋用クレープ紙や包装用クレープ紙と呼ばれる業務用の再生紙をメインに製造している製紙会社です。原料が古紙のため、森林資源は必要としませんが、紙づくりには大量の電力と水を使用します。例えば、1トンの紙をつくるのに100トンの水が必要であり、「つくる」過程で環境に負荷をかけてしまいます。

具体的な取り組み

経営理念に「循環型社会への貢献」を掲げている当社は、少しでも環境負荷を減らすため、2017年から再生可能エネルギーの使用を開始し、2019年より「再エネ100宣言RE Action」に参加しています。また、排水を少しでも浄化して還すために、2018年には長い歳月と多大な資金をかけて活性炭ろ過方式の高度排水処理設備を建設しました。さらに、このような環境に配慮した生産体制を整備すると同時に、社内の有志が工場の近くを流れる男里川の清掃を行っています。

排水処理設備

排水処理設備

男里川の清掃

男里川の清掃

めざす未来像

製造業に携わる企業としての責任を全うする意志を全社で共有し、不用コピー用紙のアップサイクルサービス「PELP!(ペルプ)」などの環境経営を実践した事業活動を通して、循環型社会へ貢献する企業であり続けたいと考えています。

02

産官学連携

中小企業と地元自治体、教育機関が連携し、
魅力的な街づくりを推進しています。

産・官・学・民の交流で新たな価値を生み出す

大阪中河内ブロック(東大阪市、八尾市)
大阪東ブロック(枚方市、寝屋川市、交野市)

気づく、つながる、デザインする誰もが輝く未来社会

産官学民が交流するシンポジウムを定期的に開催し、魅力ある街づくりに向けて参加者同士がディスカッションを交わし、一つひとつの課題解決に取り組んでいます。大学との共同研究にも力を入れ、学生の視点で捉えた新たな可能性について発表する場を提供しています。また、社会教育や文化振興の活動を展開し、地域の活性化への貢献にも尽力。地域のありたい姿を考えて実践する、そんなサイクルが定着しています。

具体的な取り組み

● 地域課題を討論するシンポジウム
産官学民が集い、地域の強みや弱みを見つめ直し、産業や教育、街の発展について討論。 自分たちが今すべき行動を考える貴重な機会となっています。

● ふれあいイベント
郷土芸能を活用した社会教育と文化振興につながる活動を展開。 疫病退散と五穀豊穣を願う「虫送り祭」などのふれあいイベントにより、地域に音と活気を取り戻しています。

● 福祉事業と連携した農業の再生
農業が抱える後継者不足という課題に対して、福祉事業と連携して新しい地域コミュニティを創出し、 地域資源を次世代へと受け継ぐ仕組みづくりを推進しています。

めざす未来像

産官学連携の強化を図り、次世代を担う人材育成と活躍の場の整備や、新たな産業の創出と企業連携の推進に取り組みます。地域の魅力発信の強化を柱に、持続可能な地域の発展に貢献する行動に努めます。地域課題の解決を通じて描かれる未来には、多様な世代が支え合い、文化と産業が共鳴し合う新しい地域社会の姿があります。官学と連携した中小企業の挑戦が希望の光となり、地域の未来を照らしていく存在になることができればと願います。

03

障がい者雇用

人権の尊重のもと
多様な社会採用を実践し、
人を生かす経営に取り組んでいます。

誰も取り残さない社会、本当に人を生かすとは

大阪同友会障害者部

誰もが人として尊重され、生き、働くことができる社会づくり

大阪同友会障害部では、障がい者雇用企業の見学会やダイバーシティに関する勉強会、児童養護施設の訪問など、さまざまな取り組みを行っています。就労不安の解消に配慮した体験実習に力を入れるなど、障がい者をはじめとする就労困難な人たちの社会参加の一歩となるよう。

具体的な取り組み

● 職場体験実習(受け入れ事業)
体験実習を支援する機関を募り、体験希望者には受け入れ事業者で軽作業を行ってもらいます。実習 事例としては、製造業での部品ピッキング作業です。雇用を前提としないので気負わず受け入れに チャレンジすることができます。

● 児童養護施設訪問
社会的養護の子どもたちに職業観を養うための適職支援や、定期的な大人との対話を通じて社会の一 員であることを自覚してもらう談育を行っています。

● ダイバーシティ推進(勉強会事業)
先進的な雇用や支援に関する勉強会・見学会を定期的に開催しています。障がい者が活躍する企業の 経営者による勉強会や、生活困窮者の支援施設を訪問します。

めざす未来像

職業体験実習の受け入れ事業者と体験希望者とのマッチング機会を増やし、障がい者の雇用はもとよりさまざまな人が働ける環境づくりを整備し、地域経済の活性化に努めます。いろんな事情により社会的養護下にある子どもたちが、大人との交流を通して仕事をする喜びを見出し、長く安定した生活を送ることができる社会をめざします。

04

地域経済

暮らしの向上や就労支援に注力し、
いのち輝く街づくりに取り組んでいます。

食と職でくらしを応援

大阪中央ブロック
(中央区子どもの居場所連絡会/事務局中央社会福祉協議会)

北御堂フードパントリー×ワークパントリー
~食糧確保と就労状況を改善して貧困からの脱却を応援~

中央ブロックでは、家庭に居場所のない子どもやヤングケアラー、外国ルーツの家庭など、さまざまな事情を抱えた人たちを支援する活動を行っています。2012年に起こった痛ましい事件をきっかけに、子ども食堂や学習支援を行う場所が増え、地域の企業やボランティア団体が互助に取り組むようになりました。大阪同友会中央ブロック憲章政策委員会も参画し、地域に定着した支援活動として「北御堂フードパントリー×ワークパントリー」を実施しています。

具体的な取り組み

さまざまな企業や団体に食材の提供を呼びかけ、北御堂に集まった食材を生活困窮状況にある家庭や個人に配布しています。配布日などの広報は社会福祉協議会のネットワークを中心に行っています。 また、同友会企業が大阪市の就労相談窓口と連携し、就労相談にも応じています。不安定な就労状況にある方の就労体験の受け入れや、経営難に陥った事業主の相談にも対応。回を重ねる毎に来場者が増え、地域の暮らしを支える取り組みとして定着しています。

就労相談・経営相談にも多くの人が集まります

就労相談・経営相談にも多くの人が集まります。

食材をお渡してお困リ事を聞き取ります。

食材をお渡してお困リ事を聞き取ります。

めざす未来像

地域諸団体と連携を深め、居場所を必要とする子どもたちの実情を把握しつつ、豊かな心で暮らせる環境整備を推進します。また、就労の安定支援にも継続して取り組みます。地域が抱える経済的な課題の解決に努め、一人も取り残さない「いのち輝く街づくり」に貢献していきたいと考えています。

05

キャリア
教育

次世代を担う人材育成につながる
キャリア支援活動に取り組んでいます。

大阪府箕面東高校キャリア支援活動

大阪北ブロック(憲章委員会/経営委員会/豊能支部)

働くことの素晴らしさを経営者として高校生に伝える

高校生と経営者が意見交換を行うことで「働くことについて考えるきっかけを持ってもらうこと」を趣旨に、キャリア支援を行っています。総合科目の中で「産業社会人と人間」という授業を実施。地域の経営者と共に「働くこと」を考えてもらいます。

具体的な取り組み

2015年より例年行事として、大阪府立箕面東高等学校でキャリア支援授業を実施しています。経営者の事業プロフィール等を事前に予習してもらい、3限目、4限目を使って約150名の生徒と経営者が「働くこと」について議論し、共に考えてもらいます。生徒10名に対して経営者1名のグループに分かれ、経営者が自身の経験談を伝える他、質疑応答やディベートも行い、討論終了後には選出された生徒がグループ発表します。将来の選択肢が広がる有意義な授業として評価いただいています。

高校生とまずは向き合い、距離を縮めます。

高校生とまずは向き合い、距離を縮めます。

高校生が興味を持つと会話が進みます。

高校生が興味を持つと会話が進みます。

めざす未来像

次世代を担う若い人たちが、選択肢を広げて進みたい道を見つけ、自身の可能性を信じて邁進してほしいと考えています。私たちのリアルな経験談を通して働くことの素晴らしさを感じ、夢を実現できるようキャリア支援を行います。彼らの活躍が地域経済を活性化につながり、また、彼らに伝えることで私たちも自身の存在意義を再発見し誇りを持って働き続けることができ、共に豊かな未来を築ける社会をめざします。