食い倒れの街「大阪」の食の魅力をもっと伝えたい、の一心が生んだ新事業
~未経験でも飛び込むことで生まれた「光明」~

イオ・マーケティングについて

イオ・マーケティング社は飲食店向けの販促やWEB活用の提案を行う企業です。岡崎さんは2011年11月に個人事業として創業され、2014年10月に法人化されました。現在は設立10年目に突入しています。

業績を直撃したコロナ禍が生んだ決意

岡崎さんは「ぐるなび」出身で、同社で得られた知見と経験を生かして事業を伸ばしてきました。飲食店向けの月額3万円からの販促コンサルティングサービスが好評で、更に飛躍をしていこうというところで、3名の社員を採用した矢先、2020年に新型コロナウイルスの発生。いわゆるコロナ禍で不要不急の外出が制限され、顧客である飲食店が困難な状況に立たされました。激変する環境の中、岡崎さんは「このままでは駄目になる」という危機感から新しい事業に取り組む決断をしました。

大阪はかつて、江戸時代に全国からおいしい食材が集められ、その食材を調理する技術が磨かれ「天下の台所」と称された土地です。そのおいしい料理でもてなす食文化が発展し、財産をなくすぐらいに飲み食いにお金を使う「食い倒れの街」として今にいたっています。

豊かな食文化を育んできた「食い倒れの街」大阪の飲食店がコロナ禍によって苦しんでいる。岡崎さんは､顧客を中心とした大阪の飲食店の役に立ちたい、その一心で考え抜き、新しい事業を決定しました。

未経験で始めた新事業

それが飲食店の業績向上のために立ち上げた「コネクト大阪」というECサイトです。 (https://connect-osaka.shop/)コロナ禍で店舗での食事ができなくなっていた中、自宅で楽しめるよう、このサイトでは大阪の飲食店のおいしいグルメを集めました。人気のお店の料理だけでなく、大阪産の農産物、畜産物など、大阪発のこだわりの食品がたくさん紹介されています。

自社ではECサイトの立ちあげは初めてだったそうで、うまくいくのだろうかと大きな不安もあったものの、大阪の食をなんとしたいとの思いが勝りました。

このECサイトの特徴の一つは出店者の費用負担が少ないことです。通常、大手ECサイトに出店する際には固定の掲載手数料が発生しますが「コネクト大阪」では飲食業界を支援するため、掲載手数料を無料にし、販売手数料もわずか10%に設定したことも功を奏し参加企業も順調に増加。現在、大阪府が運営する「大阪産(もん)」とも連携し、約150社の商品1,000点以上を販売しています。

もちろん、新たな事業に取り組む過程では、困難な時期もあったとのこと。しかし、スタート時の熱意を持ち続け、一つひとつに向き合うことで徐々に解決してきたそうです。

新事業が生む新事業

岡崎さんは「コネクト大阪」という新しい事業に挑戦することを通じて、出店者を集めるのに奔走したり、商品展開に腐心したりする中で、多様な飲食店をはじめとした食を扱う企業や生産者とのつながり、知らなかった名物に出会い、そのことが次のアイデアを生む源泉になったそうなのです。

そうして生まれたのが「大阪名店ギフト」( https://www.osaka-gift.com/ )という新しいＥＣサイトです。「コネクト大阪」を運営する中で、価格競争ではなく、本当の価値を分かってもらうためにも、贈り物、お土産のギフトで価値を高めたい、また、地元の人、企業が「これ大阪の名物！」と地元企業の応援も兼ねて購入できるサービスを展開しています。

これからにむけて

取材を通じて感じたのは、さまざまな困難がある中でも強い意志を持って取り組めば光明はあるということでした。そして、その光明は「自社」という枠だけではなく、地域や社会に対する思い、人と人のつながりの中で見つけられるものなのではないでしょうか。

イオ・マーケティング社はこれからも大阪の食文化を支え、広めるため、今後、これらのサービスが企業の福利厚生の一部として活用できるようにするなども計画されており、積極的に活動していくそうです。これからも目が離せない展開になりそうですね。

（取材：岡室、北川／文・写真：岡室）