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Osaka Doyu-Kai

vol.8

特集「 今こそ、変化の先に踏み出そう!」

同友会は経営課題解決への道がオールインワン

Profile

大阪東ブロック/枚方寝屋川交野支部/2014年度入会

エビス電子株式会社 代表取締役

駒井 將之

所在地:大阪府枚方市津田西町1-8-2 / URL:https://ebisudenshi.co.jp
創 業:1976年 / 設 立:1983年 / 資本金:1,000万円 / 年商:292,209千円(2023年9月末)
社員数:15名(アルバイト・パート含む)
事業内容:電子部品の販売卸、プリント基板加工、電子機器の開発・製造・販売、海外委託加工、アッセンブリ、LED組立加工

 

少し北東に上がれば京都、南に下がれば奈良になる県境にある枚方市の津田。田園風景が広がり閑静な住宅街の中にエビス電子があります。

 

2年前にリニューアルした会社は、看板が無ければ、少し大きめの住宅に見える奇麗な会社です。12月号はエビス電子代表取締役で、現在大阪東ブロック枚方寝屋川交野支部(以下ひらねか支部)の支部長をしている駒井さんに登場してもらいます。

 

 

エビス電子の紹介

 

エビス電子は1976年義理の父(奥様の父)が電子部品の販売を行うブローカーとして創業。1983年にエビス電子株式会社として設立しました。

 

現在は光半導体、コイル部品、電子デバイスなどの電子機器に携わる電子部品商品を幅広く取り扱う卸業や、ハンダ付けなどによる電子部品の組み立て受託加工業を行っています。

 

またこれらの経験を生かし、LED照明器具、理化学実験機、特殊ケーブルなどの自社商品開発も行っています。現在は商社機能7割、受託加工2割、自社商品メーカーとして1割の売り上げ構成になっています。

 

 

将来の不安から経営者に

経営とは縁のない環境で育った駒井さんは、環境測定の会社勤務や、金庫メーカーの営業をしてきました。前職の金庫メーカーでの営業では先輩からなにも教育が無く、どこを回ればいいかもわからない状態で時間をつぶすような働き方だったようです。先輩たちは喫茶店やコンビニで昼寝をしたりして時間をつぶし、時間になれば帰ってくるような環境でした。

 

環境測定の会社は、給与が安いにもかかわらず、毎日帰るのが夜の0時になるブラックな会社で、将来に不安を抱きながら働いていました。

 

以前から義父に将来は会社を継がないかと言われていましたが、駒井さんはそんなことを考えるのもしんどいし、縁故採用で働くのが嫌でずっと先送りにしていました。しかし、奥様からもこのままでいいのかと心配され、将来への不安もあり、地元の先輩に相談しました。先輩からは「普通の人はなかなか社長になるチャンスなんてない、やってみた方がいいのでは?」と言われ決心したとのことです。

 

 

経営者への道のり

2005年エビス電子に入社後、駒井さんは1年半の間、現場で電子部品を覚え、その後は営業を行います。

 

金庫メーカー時代とは違い、どうすれば売れるのかを考え、勉強する日々が続きます。先輩営業マンもいろいろなアドバイスをくれます。その先輩はベテランで営業トークに長けていました。一方、駒井さんは話すことが苦手で、どうすればいいか営業の本を買いよく勉強しました。そしてたどり着いたのが「お客様の要求を聞き取る」ことでした。

 

営業にも慣れたころ、そろそろ社長交代を考えるようになります。社長になる1年前からは大阪産業創造館などに出向き、そこで行われている後継者の勉強会に参加していました。そこで決算書の見方などを勉強しました。

 

 

事業承継からの気づき

このような勉強を始めて、2013年ようやく社長に就任することになりました。しかし、1年間は何をしていいのかわからない状態での日々を過ごしました。

 

ある時、先代社長に「社長の仕事は何なのですか?」と聞いたところ「その月のお金を工面できたらそれでいい、それが仕事や」。その他にもいろいろな話をしてくれたそうですが「本当は他にも伝えたいことがあったと思うが、その言葉が強烈でそれしか印象に残っていない」とのことです。

 

また、先代の考え方は駒井さんとは違いました。先代はもともと家族を食べさせるために事業を始めたことから、身内を大切にする傾向がありました。駒井さんはなにか違うのではないかと考えるようになりました。

 

 

同友会との出会い

 自分はどのように経営したらいいか、自分が間違っているのかなどと考えているうちに、経営理念とは何か? 経営ビジョンとはどう違うのかを考えることがありました。

 

勉強しようと思い、経営者の集まりを探しました。いろいろな経営者団体を調べていると、たまたまお世話になりだした保険屋さんが奈良同友会の方で、相談したところ「中小企業家同友会は結構真面目に勉強する会ですよ」と言われ同友会に興味を持ちました。同友会は全国都道府県にあることを知り、会社の所在地が枚方なので京都同友会か大阪同友会かで考えましたが、会社の規模、業態を考えると大阪の方がいいと思い大阪同友会にホームページから資料請求をしました。

 

次の日には事務局とひらねか支部の会員さんが訪問に来られ入会になりました。あとでわかったのですが、同友会とは縁がありました。大阪産業創造館で行われた後継者の勉強会に参加した時、講演者として講師をしたのがひらねか支部の会員さんでした。ちょうどひらねか支部が設立を迎えている時で同友会を勧められたことがありました。しかし、その頃は経営にも携わっておらず入会にはいたりませんでしたが、入会後の例会参加でその会員さんと再会し、同友会との縁を感じることになりました。

 

 

人を生かす経営が背中を押してくれた

同友会入会後、例会などで人を生かす経営の話を聞いた時に、それまで自分がおぼろげながら社員さんと共にと感じていたことが間違いでないと思うことができるようになりました。駒井さんは外から来た後継者で、電子関連の技術もありません。「社員や取引先様、顧客に支えられ経営をしていく、そして自分がみんなに生かされているからこそ会社全員で成長していくことが何より重要である」と確信しました。

 

 

社員満足なくして顧客満足は無い

 ある例会で「社員満足なくして顧客満足は無い」という報告があり、本当にその通りだと納得しました。すぐに、どこかのものをそのまま取り入れたような自社の就業規則を見直すことにします。

 

すると社員さんと取り交わしていた雇用契約と就業規則とが違うことに気づきました。以前は社員さんの退職時にもめることもあり「これでは社員たちは安心して働けない、前を向いて働けるような制度を取り入れたい」と考え評価制度を作りました。

 

なぜこの給与なのかをきちんと説明できるようにしたい、そして個人それぞれの目標達成の度合いを評価していきたいとの思いを表した制度にしていこうと今も動いています。

 

現在はその制度のもと、半年に1回面談をして進捗度合いを話し合って評価を決めています。

 

 

経営指針確立・実践セミナーを取り入れる

2017年5月から半年間の経営指針確立・実践セミナーを受講しました。それまでも経営計画書は作って社員さんに発表していましたが、セミナー受講後は幹部社員と一緒につくり全社員へ発表するようになりました。このセミナーでは毎講宿題がでて社員との共有が求められます。そのことによって、社員と一緒に指針書を作れるようになりました。現在も指針書を作る会議では駒井さんがセミナーのリーダーの役割をして社員さんが受講者のようなかたちですすめています。

 

そのおかげで、現在大阪東ブロックの経営指針確立・実践セミナー第2講や第7講のリーダーをしています。

 

 

企業変革支援プログラムは自分の成績表

エビス電子は10月決算なので、7月~9月の3カ月間、毎月1回社員が集まり指針書作成会議を行っています。SWOT分析では、内部環境を出すために企業変革支援プログラムを取り入れ導き出しています。企業変革支援プログラムは現在の自社の立ち位置を確認するためにも有効であり、駒井さんは「社長の成績表」と捉え毎年取り組んでいます。

 

 

経営ビジョン

経営指針確立・実践セミナーの時に作ったビジョンは「新工場建設」「営業車はレクサス」など、ほとんどが夢の絵だけで占められていました。その中で一つ「支給品の多い会社」があり、作業服などは支給するようにしました。

 

現在ビジョンを見直し中で、現在の物売り主体の業態からものづくりを主体とした提案ができる企業をビジョンとしてあげるようにしています。

 

ビジョンに掲げた新工場実現にむけて2年前に工場をリニューアルし、綺麗な住宅のような内装になっています。それまでは築30年以上の古い建屋で、営業も顧客を会社に連れてくるのが嫌との意見がでていましたが、綺麗な自慢の職場へ変身することができました。

 

 

これからのエビス電子

自分が経営者になる前からの数字を洗い出してみたところ、数字的には10年前とそんなに変わっていないことがわかりました。ここは反省材料ですが、中に目を向けると社員と共に経営指針書を作れる会社になっている、中身が大きく変わってきている。これは必ず会社の数字になって表れてくると信じ「これからのエビス電子の進化が楽しみ」と言う駒井さんです。

 

 

同友会 私の楽しみ方

 

・良いと感じたことを取り入れてみる:会員さんにはいろんな経営者がいるので、考え方や各社の取り組みで良いと感じたところは自分なりにかみ砕いて取り入れてみる。

 

・ベンチマーク:自社より一歩二歩前を行く会員さんを見つけ、ベンチマークにする。経験談を聞くことで、これから自社にも起こりうることに、先回りして対処することができる。

 

・人とのつながり:経営者は孤独と言われるが、小G会や幹事会、委員会活動などの同友会活動を通して出会う人が心強い存在になったりする。私一人ではとても知り合えない人ともつながったり、お話しできたりするので、入ってくる情報量が多く選択肢が増える。まずは支部幹事やブロック役員で関係性を太くしてみてはどうか。

 

・同友会はオールインワン:学びたい、知識を得たいと思ったことは、たいてい同友会内のセミナーなどで解決する。興味を持ったら、ブロック役員さんか事務局員さんにまず相談。

 

(取材:大西、山田/文:山田 写真:山田)