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Osaka Doyu-Kai

vol.11

「 今こそ、変化の先に踏み出そう!」

フラットな組織を作り社員と共に三つの「楽しみ」を実現する

Profile

大阪北ブロック/北第一支部/2021年度入会

株式会社AD5 代表取締役

片岡 高志

所在地:大阪府大阪市北区/ URL:https://ad5.jp / 創業:2017年7月 / 設立:2019年6月
資本金:200万円 / 年商:5,400万円(2022年度) / 従業員数:5名 /事業内容:アプリケーション開発

経営理念

挑戦を楽しみ、共創を楽しみ、未来を楽しめ。

 「こんにちは。ようこそ」とにこやかな笑顔で迎えてくれた片岡さん。洗練されたオフィスには真剣な表情でパソコンに向かっている社員5名の姿がありました。緻密さが求められる仕事ですが、社内には軽やかな空気が流れています。

 現在のオフィスに移転したのは2023年6月。片岡さんが掲げるコアビジョンに基づき、めざすべきステージに向け社員と共に一つひとつ結果を積み上げています。

オフィスの風景

 

 株式会社AD5はさまざまな業種における課題を解決するアプリケーションを受託開発する会社です。顧客とのコミュニケーションを活発にしてニーズをつかみ、提案力を高めた結果、受注の7割以上がリピートや継続の案件となり、2023年5月末の第4期決算では過去最高売上を計上しました。

 創業から6年、設立から4年が経過した今にいたる片岡さんの原動力は「楽しむ」こと。経営理念にも掲げられているこの言葉がAD5の軸となっています。

 

 

「やりたい仕事を楽しくしたい」起業のきっかけは前職で経験した違和感だった

 片岡さんが社会人になって最初に就職した会社は現在と同じ業種でした。トップダウンの急成長ベンチャー企業。利益最重視の社長の方針でハードワークが強いられ、社員は疲弊していました。

 退職者が続出してもまた人が補充されるような事態の中、片岡さんは徐々に「これでいいのだろうか」と疑問を持つようになりました。「ただ数字ばかりを追いかける仕事。その意義はなんだろう。やりたい仕事をもっと楽しくしたい」行き着いた答えが片岡さんを独立、開業へと導いていきました。

 

 

売上が先か雇用が先か。その答えをすぐに実践

 前職を退職したあと、2017年7月に片岡さん1名で創業。当時はストレスから解放されたものの、1名で事業を継続してゆく限界を感じ始めます。しかし、雇用に踏み切るには不安もありました。

 悩んでいた時に出会った一冊の本が、片岡さんの迷いを払拭してくれました。それは取引先の社長が書いた本(「人に困らない経営」森本尚孝・著)でした。読み進めてゆくと「まず人を何人増やすかを最初に決める」「人を活躍させるために仕事を増やす」という記述が目に留まります。その瞬間「これでいいんだ。僕もまず人を雇おう」と法人化を決心。2019年6月のことでした。

採用に踏み切ったきっかけとなった本と

指針セミナー受講後大きく変わったコーポレートデザイン

 

 すぐに求人活動を始め、社員1名の採用にいたりました。いざ雇用してみると今までにないプレッシャーはありましたが「人が動いた分で絶対に給料が出る」という確信は揺るぎませんでした。

 

 

「ここで経営を学びたい」同友会への入会を即決

 2022年に入ったころには3名の社員が5名になり、売り上げは伸びていましたが、社員が増えたことで経営への不安を抱えるようになっていました。静岡の取引先企業に、以前同友会を紹介してもらったことを思い出し、ホームページから「同友会を知る会」へのゲスト参加を申し込みました。

 「伸びるリーダーの条件とは」というテーマで、滋賀県中小企業家同友会所属、株式会社Honki石川社長の報告でした。その後のグループ討論では、出席者の真剣さが伝わってきて「この会は経営を勉強するのにふさわしい場」と実感し、入会を決心しました。経営者が集まる他の会も検討したのですが、同友会は会員同士がただ交流を深めるだけでなく、目的を持って積極的に会に参加していると実感した片岡さんは、ようやく同友会に自分の学びの場を得ることができました。

 

 

ティール組織との出会い

 同友会入会後、多くの経営者と接し交流を深めていく中、片岡さんはある会員との会話で「ティール組織」という言葉を耳にします。ティール組織とは、社員とフラットな関係を築き、目的達成に向けて成長する組織形態です。

 ちょうど社員が増えて、自分の考えをしっかり伝えることが難しいと思っていたころでした。このティール組織を作ることができれば、自分がトップに立って指示することなく、社員一人ひとりが意思決定をして、共に事業発展に向かって動くことができます。

 「ティール組織を作ろう」片岡さんのめざす景色がはっきりと定まりました。

 

 

コーポレートデザイン作成後、経営指針確立・実践セミナーを受講

 ティール組織を作るために、社員と共有できる指針書が必要だと考えた片岡さんは、自社の指針、理念を記した「コーポレートデザイン」(会社の設計書)を作り始めます。2022年6月に初版が完成しました。その後、同年10月から始まる大阪北ブロック経営指針確立・実践セミナーを受講。経営理念の作成を目的とするセミナーに、既に完成していた自社の指針、理念を持っての参加でした。

取材風景

 

 共に学ぶ受講者、客観的な立場でアドバイスをくれる助言者から多くの刺激と学びがあったセミナーで、自社の経営理念に対する意識がより深まっていきました。

 2023年6月には2冊目のコーポレートデザインが完成。フィロソフィーから始まり、マインドセット、企業方針、中期計画、ガイドラインまで網羅した全97ページの冊子です。1冊目と比較するとページ数が増え、記述内容も細部にわたり、納得のいく冊子を作ることができたのは、経営指針確立・実践セミナーを受講したからこそと片岡さんは語ります。

 肉厚になった2冊目のコーポレートデザインはいつも社員の手元におかれ、事業の軸が明記されているので、以前よりも社員の考え方がそろってきたと実感しています。

 

 

みんなで仕事を楽しめる会社を作りたい

 「今後、緩やかに社員を増やし続けたい」という希望が片岡さんにはあります。規模が大きくなれば、理念に掲げた「挑戦、共創、未来」という三つの楽しみも大きくなります。ティール組織を作り、すべての社員と一緒に楽しむことなど、事業のこれからを語る片岡さんの目は輝いていました。

 

(取材:後藤、山野、土本、岡坂/文:土本/写真:山野)

 

 

同友会 私の楽しみ方

 2023年度から大阪北ブロック北第一支部の例会委員長として活動しています。

 ルーティンになりがちな例会をいかに面白い会にするかを考え、例会委員会の仲間と話し合いながら例会を作ってゆく過程はとても楽しいです。大変なこともたくさんありますが、その分、例会後には大きな達成感が得られます。

 委員会内だけでなく支部やブロックの会員をどう巻き込んで活動するか、その成果を問われるのが例会だと思います。今期はさらに盛り上がるよう皆さんと一緒に、ここでも楽しく動いていきたいです。