Profile
大阪南東ブロック/平野支部/2020年度入会
東洋バレル技研株式会社 代表取締役
別所 長政
所在地:大阪府大阪市平野区加美東4丁目5-11 / URL:https://www.toyobarrelgiken.co.jp
設 立:1977年10月 / 資本金:1,000万円 / 従業員数:12名
業務内容:金属部品のバレル研磨加工、アルミ・鉄・ステンレスのバレル処理、バリ取り、光沢仕上げ、酸化被膜除去、揺動式遠心バレル研磨機での加工
ホテルマンからバレルの道に
別所さんは、スイスのホテル学校を卒業後、アメリカ・カリブ・シンガポールで11年間ホテルマンとして働きました。26歳で日本のホテルに勤務していた折、親が経営する東洋バレル技研株式会社に立ち寄りました。その際に、親の病気の状態・社内の雰囲気を見かねて会社を引き継ぐことを決断しました。
奥がバレル研磨後
リーマン・ショックで倒産寸前に
入社後、しばらく加工技術を勉強するために現場に入り、それから数年後に営業に出ました。入社後は売上も増え、第二工場を構えて「さあこれから!」という時にやってきたのがリーマン・ショック。一社依存体質で身動きが取れず徐々に大きな赤字を出すようになり、あれよあれよという間に倒産寸前に。2010年10月には、銀行に返済ができなくなり、代位弁済となりました。
代位弁済からの奇跡の復活
経営が行き詰まったなかで、同友会会員との出会いが別所さんの会社再建への背中を押しました。
当時は一社依存を解決することを第一優先で考えたということです。再建までの間は、一切金融機関から借り入れができなかったので、自己資金での資金繰りにフォーカスするしかありませんでした。知人から経営コンサルを紹介してもらい、毎週のように通いました。その度に次回までの宿題を与えられて、土曜日や日曜日、夜中や早朝でも宿題をこなして自社の強みや弱みを分析し、3年後、5年後、10年後のビジョン作成をしました。
財務に余力がなかったので、小規模な展示会への出展やDM発送で新規開拓につなげていき、別所さん自らトラックのハンドルを握り、大阪だけではなく京都や滋賀、兵庫まで行き、1日で500キロを運転する日が週に3回はありました。
そして、2021年には再建に成功し、金融機関と正常取引ができるようになりました。
新型コロナ禍後の受注急減から2度目のV字回復
新型コロナ禍中は、需要が増え業績も堅調でしたが、コロナ禍が終わり取引先の過剰在庫により一転して受注が急減。2023年度は赤字になりました。
2度目の逆境のなかで、別所さんはそれまでのやり方では危機を乗り越えられないと考え、広げてきた取引地域と商品ラインナップを一気に絞り込み、自社が最も得意とする地域と商品に集中し営業を行いました。
その結果、2023年に年間で45件だった新規問い合わせが、2024年1~3月の3カ月間だけで50件となり、自社との取引を心から希望するお客様との取引が増え、業績は急回復しています。
取材を終えて
別所さんの2度の業績回復の道のりをお聞きして、
・学んだことを素直に・愚直に・圧倒的にやり切る力
・うまくいかない時にすぐに軌道修正する柔軟さ
この二つが飛び抜けて優れているからこそ、素晴らしい成果を生み出しているのだと感じました。
「いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任」を経営者として体現していると感じた取材でした。
(取材:平山、小西/文:小西/写真:平山・小西)