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Osaka Doyu-Kai

vol.1

労使見解に基づく人間尊重の経営を深め・広め、我々の力で大阪の明るい未来を切り拓こう!〜同友会運動の新しいステージにふさわしい、大阪同友会のありたい姿を実現しよう!〜

Profile

代表理事 / 代表理事 / 代表理事 / 議案起草委員長・副代表理事 / 事務局長

理化工業株式会社 / 株式会社山田製作所 / 株式会社坂口製作所 / 東洋製鉄株式会社 / 大阪府中小企業家同友会

森嶋 勲 / 山田 茂 / 坂口 清信 / 音頭 良紀 / 小原 亮

音頭: 本日は、2025年度の総括と2026年度の展望について語っていただきたいと思います。それでは、まず初めに2025年の国際情勢および日本情勢についてお話をお願いします。

 

森嶋: 国際的には、トランプ関税により世界中が不安感に襲われ、アメリカ国内の指標や物価に直接影響し、日本の輸出型企業にも影響が出てくると考えられます。

 国内では、高市総理が誕生しました。これまでの政権に比べると、積極的な財政政策を打ち出しており、これまでとは異なる経済の流れへの期待感が、高い支持率にもつながっていると思います。物価高対策としてガソリンや軽油の減税がすすめられ、われわれの生活にも直接的に影響してきます。

 また、積極財政により設備投資や新事業に対する補助金などが継続される見通しであり、われわれ経営者としては、どのように事業戦略を描き、資金計画へつなげていくかという姿勢が問われていきます。

 そして、従来から続く労働力不足・賃上げ・採用・定着・人件費上昇など人に関する課題への対応も引き続き必要です。われわれ同友会で学ぶ者として、経営指針書の作成や、人を生かす経営の実践で、ピンチをチャンスに変えられるかどうかが、まさに2026年の対策として必要だと思います。

 

音頭: 新しいステージに立った同友会、労使見解発表50年を迎えた中同協、全国の運動の成果と到達点についてお話をお願いします。

 

山田: まず、同友会運動の新しいステージの定義として、狭義の意味合いとしては「同友会運動の有機的展開による立ち位置の変化と可能性」であり、広義の意味合いは「真の人間尊重の社会をつくり新しい歴史を創造すること」としています。ここで「立ち位置の変化」という言葉がでてきますが、これは同友会が変化したのではなく、社会が変化して気がつけば同友会がど真ん中になっているという意味です。

 大阪同友会の運動で例えると「大阪わかそう」の事例が挙げられます。過去35年間、大阪府に対して要望と提言を出し続けてきた活動や、憲章条例運動の一環として中小企業の魅力を毎年発信してきた活動が、有機的に高まり積み重なってきました。

 こうした活動を通じて、中小企業の社会的・経済的な存在意義を中小企業の日を通じて発信しています。そして将来に向けて求められるのは、まさしく労使見解の精神をもとに、真の人間尊重の社会をつくり、私たち自身の手で新しい社会をつくり上げていくことです。

 51年前の1975年1月に「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」が発表されました。当時、労使は敵対関係にあり、お互いをおとしめ合う状況でした。しかし、私たちの先輩は対立から対話の関係をめざし、経営者の責任を第一に掲げ労使見解をまとめあげました。

 2025年度中小企業白書には、私たち同友会が学び、実践している取り組みが記載されました。同友会運動の成果と到達点だといえると思います。すべての人がその素晴らしさを発揮できる社会づくりを担うのは、社会の中心に立つ責任者である私たち中小企業経営者と社員たちであるということも誇りであります。

 

音頭: ビジョン2020具現化に向けた取り組みを中心に大阪同友会の運動の成果と到達点についてお話をお願いします。

 

坂口: 2025年度は、大阪同友会設立70周年の2028年を、われわれはどのような姿で迎えるのかを考えるということでビジョン2020具現化委員会が発足しました。大阪同友会全体で、われわれが経営指針・確立実践セミナーで学んだ指針経営と同様に、ビジョンを見据えた中長期的な方針を策定し、計画を立て、PDCAを回して実践していくことが目的です。

 ビジョンのなかでも、例えば「誰もが知っている大阪同友会」「世界共通の課題『SDGs』に取り組み、世界とつながる大阪同友会」といった項目があります。2025年度は、大阪・関西万博が開催された年でもあります。TEAM EXPO 2025のプログラムへ大阪同友会として参加したことを通じて、大きな成果につながるのではないかと考えています。また、この成果を今後につなげていくのは、われわれだということも感じています。

 

音頭: 大阪同友会事務局活動の成果と到達点についてお話をお願いします。

 

小原: 事務局の役割でいうと「情報のハブ」としてどのように機能していくのかが一番の課題でもあり、今後もすすめていく必要があります。2025年は事務局として非常に厳しい年となりました。これまで事務局では、2025年度まで7年連続で毎年新卒採用に取り組み、計9名の新卒事務局員を迎えてきました。しかし、今年度はそのなかで3名が退職し、当初の計画に十分な対応ができませんでした。特に大阪北ブロックの担当事務局員の退職が続き、大阪北ブロックの役員・会員のみなさまにはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。

 ただ、そのような状況のなかでも、各事務局員は本部・ブロックの担当として、それぞれの部門方針の実現に向かって取り組んできました。大阪・関西万博については、事務局員2名がプレゼンテーションを行ったことをはじめ、多くの事務局員が協力し、よい発信ができたと高く評価されており、私自身も大変よかったと思っております。

 大阪同友会全体での会勢については、一進一退の状況ですが、ここ数年の傾向を見ると、プラスのブロックが増えている流れが生まれつつあります。これを見据え、次年度に向けて、今期も残りの期間で大きな前進をめざし、事務局としても最大限貢献していきたいと思います。

 

音頭: ここからは2026年度をさまざまな角度で展望してまいります。それではまず、2026年度の世界情勢・国内情勢を展望し、われわれ中小企業家が備えるべきことについてお話をお願いします。

 

森嶋: 政権交代により経済活性化に向けた施策がすすむなか、これらの動きをわれわれがいち早く捉え、自社経営に生かすことが大切です。その際に重要となるのは、経営指針です。

 コストアップや価格転嫁といった課題がありますが、目先の問題だけに捉われず、国の政策と自社の経営指針を重ね合わせ、中長期的な目線で判断することも大切です。価格転嫁では、日頃から自社がどのように差別化を図り、価格競争力を持っているかが問われる局面でもあります。人材面では「人を生かす経営」を発揮すべきです。その具体化の一つとして、健康経営の考えについても着目していく必要があると思います。

 国の中小企業政策では「中堅企業」を育てようという大きな流れができています。このなかで、中小零細企業がどう対応するのかがポイントとなります。中小企業育成の手段として、M&Aをネガティブに捉えるのではなく、連携する一つの手段として前向きに捉え、地域や業界の情報に常にアンテナを張ることが大事です。中堅企業育成がすすむなかで、ニッチな市場にはこれまで以上に大きなチャンスがあると思います。だからこそ地域・社会課題を企業経営に取り込み、同友会運動と企業経営を不離一体ですすめていくことが求められます。

 最後にBCPです。ビジョン2020でもBCPの成文化が大切だと記載されています。近年増大している震災・自然災害リスクだけではなく、人材確保難やサイバー対策など広い範囲でのリスクを想定して備えておく必要があります。また、いざというときに力になってくれる金融関係との安定した関係づくりは何より重要です。企業の事業性評価に対して、日頃から経営指針を基に、思いを数字や具体的な形にして伝えておくことが大切です。自信と誇りを持ち、社員の人たちと一緒に行っていっていただきたいです。2026年度は、まだまだ不透明な1年ではありますが、同友会での学びを発揮すれば、時代の変化をチャンスに変えることのできる1年でもあると思います。

 

音頭: 2026年度中同協、全国の運動の方向とそこから求められる大阪同友会の運動についてお話をお願いします。

 

山田: 大きなテーマとして挙げられるのは、同友会理念の一つである自主・民主・連帯の精神を、さらに深く学び直すことが求められていくということだと思います。自主・民主・連帯の精神の実践は「人間尊重の経営」の源であり、同友会の運営だけでなく、われわれ会員の企業経営のなかで自主・民主・連帯の精神の実践に取り組んでいくことが求められます。

 企業経営で自主の実践に取り組むということは、自立的企業をめざすことです。具体的に言うと、価格決定力・技術力・独自性・先進性を持つ企業をめざすことです。そして、社員の自主性・自発性を尊重し、自由な発言を保証すること。また、個人の人間的で豊かな能力を引き出す社風を育てることです。

 民主の実践とは、企業指針に基づく全員参加型経営や、自由闊達(じゆうかったつ)な意思疎通のできる社風をめざすこと、民主的なルールを尊重し、平等な人間観の下で民主的な社内環境を整備し、社員の能力の開花をめざすことです。

 連帯の実践とは、企業間や産学官金のネットワークに参加し、組織を運営する連携能力を持つ企業を生かすことです。労使が共に学び合い、育ちあい、高次元での当てにし当てにされる環境をつくり出すこと。また、社員にも社会での自主的活動を促し、このような関係を広げる企業をめざすことが強く求められていくと思います。

 そして、重要なのは、経営指針の確立です。経営指針の確立とは「経営指針を社員と共に成文化し、見直し改善されている。それが共通目的として全社的に実践されて、計画的に改善されている。それらの成果が取引先など外部から評価され、企業が継続・発展し、魅力が発信されている、この状態が確固たるものになっている状態」とうたっています。単にPDCAサイクルが回るだけではなく、スパイラルアップしている状態です。プロセスも大切ですが、成果を重要視する姿勢が問われると思います。大阪同友会でも、成果を意識する活動・運動を重ねていくことが重要です。つまり、企業づくり・地域づくり・同友会づくりにおいても、成果を意識する1年にしていく必要があるということです。

 また、2025年9月に「『ビジネスと人権』実践の手引き」が発行されました。2026年は、これも一つのテーマとして同友会全体に広まっていくと思います。

 

音頭: ビジョン2020具現化に向け2026年度から2028年度までの大阪同友会としての取り組み、また、大阪同友会会員に求められる実践についてお話をお願いします。

 

坂口: ビジョン2020具現化委員会のなかで提案した大きな目標の一つが「2028年を会勢2,500名で迎えよう」です。大阪同友会は2015年、地域とのつながりを一層強化することを目的に機構改革を行いました。一時的に会勢が減少し、厳しい時期もありましたが、目的であった地域との関係構築は確実にすすんでいます。現在では、全国から注目される先進的な取り組みを大阪同友会は行っています。

 私が入会した2015年と比べ、ここ数年で大阪同友会の潮目が変わってきていると感じます。例えば、今年度の景況調査では回答者数が飛躍的に増加しました。会員一人ひとりの意識が変わりつつあるのだと思います。

 だからこそ、今一度この3年間で、2015年度と同規模である2,500名の会勢をめざし、さらにその先3,000名を視野に入れて取り組んでいこうということを、すべての会員に訴えたいです。高い目標だとは承知していますが、その実現には今までの取り組みのレベルアップに加え、新たな取り組みも行っていく必要があると思います。単に行事を増やすということではありません。各組織が連携強化し、これまで個々で回っていた小さな歯車のギアをかみ合わせ、大きな動きへと転換する動きが必要だと感じています。

 そして、何より会員の方にお願いしたいのは、当事者意識を持っていただきたいということです。大阪同友会を、大阪を、日本を、そして世界を変えられるのは会員一人ひとりです。観客になるのではなく、プレーヤーとして協議に参加することこそが、ビジョンを具現化するためのキーポイントだと思います。

 

音頭: 2026年度から2028年度までの大阪同友会の運動と事務局体制についてお話をお願いします。

 

小原: 2025年度は、事務局員の退職がパート含め5名にのぼり、非常に多くの人材を失いました。一方後半では、これまでの新卒採用から方向転換し、中途採用を行いました。その結果、120名を超える応募がありました。中途採用で来られた方には、これまでの職務経験を生かし、大阪同友会事務局に新しい風を吹き込んでくれることを期待しています。

 2028年大阪同友会設立70周年になる節目を、会勢2,500名体制で迎えることが確認されました。その体制を築き上げるためにも、事務局としてどう動いていくかが重要になってきます。全国でも「新しいステージ」と言われているように動き始めています。大阪でも地域との連携が強化され、着実に発展している実感があります。そこに事務局を含め「大阪という地域を元気にしていくぞ」といった空気を大阪同友会全体でつくっていけるかということが問われます。

 その先駆けで、昨年大阪・関西万博での出展がありました。万博で終わらず、今後も大阪を活性化する取り組みをより一層強めていきたいです。

 また、大阪同友会設立70周年を迎えるにあたり、大阪同友会の歴史から学ぶことは不可欠です。事務局内では、同友会の歴史理解がまだ十分とはいえない面もあり、事務局員が歴史に関する疑問にしっかり答える力も身に付けていく必要があります。

 2028年には、ビジョン2020に記されている目標に向けて、前進したと言われるような形にもっていくための取り組みを見せていきたいと思います。

 

音頭: これまで伺った内容には、いくつか重要なポイントがありました。

 まず、森嶋代表理事からは、目先のことに捉われず中長期的な視点で企業戦略をもって企業経営を営むこと。政府の掲げる中小企業育成に踏まえ、友好的M&Aや中小企業の承継など幅広い情報へのアンテナの感度を高めること。地域・社会課題に企業経営で取り組むこと。そして、BCPに対する取り組みが重要であること。ピンチをチャンスに変えていくようなキーワードがあるお話でした。

 山田代表理事からは、自主・民主・連帯の精神を学び直すことの意義が強調され「『ビジネスと人権』実践の手引き」についてもわれわれが深く学ぶ要素であること。そして経営指針の確立こそが、われわれ中小企業家に求められる内容だと、大変意味深いお話でした。

 坂口代表理事からは、2028年度の会勢2,500名、通過点として3,000名をめざし運動を展開していく方針が示されました。目標達成には会員一人ひとりが当事者意識を持って活動を広げることが不可欠であると言及されました。

 最後に小原事務局長からは、事務局が情報のハブとして機能するためには、採用から共育まで一貫性を持った体制づくりをすすめる。そして、人を生かす事務局運営ができるというところに心を砕いていく必要があると思います。同友会運動が新しいステージに立ったと言われるにふさわしい大阪同友会事務局に変貌していくことが重要であると思います。

 多くの課題がある一方で、2025年の総括を踏まえ、今後大阪同友会が飛躍するために、毎年取り組むべき具体性を会員のみなさまへ示していきたいと思った座談会でした。