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Osaka Doyu-Kai

vol.3

「 一人ひとりが輝く未来を切り拓く企業」

そこに存在し続けることが地域貢献 ~経営姿勢を確立できた今、心から社員や地域に目を向けられた~

Profile

大阪東ブロック/東成・生野支部/2021年度入会

株式会社 九飛勢螺 取締役

仮屋 裕樹

所在地:大阪府大阪市住之江区新北島4-3-44(大阪本社) 鹿児島県鹿児島市喜入生見町5103(鹿児島工場)
URL:https://www.qp-seira.jp
設立:1982年6月 / 従業員数:135名(大阪本社・東京営業所:31名 鹿児島工場:104名)
資本金:3,950万円 / 年商:31億4千万円(2024年3月期) 
事業内容:ピアスビス・ピアスタをはじめとするドリルねじなど、ファスナー全般を製造販売

 初めての人は読み方がわからない少し変わった社名の株式会社九飛勢螺(きゅうぴせいら)で取締役をしている仮屋さんを紹介します。鹿児島の西郷どんを思わせる仮屋さんはその見た目のとおり鹿児島県出身です。次期社長となるため、3年前より鹿児島から大阪本社に来て経営を学ぶために同友会に入りました。

 

 現社長 新城公生氏は仮屋さんのいとこにあたります。社長からの指示で次期後継者として仮屋さんは日々自分や会社の名前を広げ、自分の地場を広げていく活動をしています。そのための役職も取締役ブランディングチーフになっています。また、今年からは海外事業にも関わる動きをし、世界を股にかけ動いています。

 

 

株式会社九飛勢螺の歴史

 九飛勢螺は建築関係でよく使われるドリルビスの開発、製造販売をしている会社で、ピアスビスのブランド名で知られているメーカーです。その歴史は、現社長 新城公生氏の祖父が起こした有限会社新城製作所とその製造を行うために作られた株式会社九州新城から始まります。

 現社長 新城公生氏の祖父がナットの製造販売をし、その後、現社長の父がピアスの販売を手掛けドリルネジの開発をし、販売を始めました。

 製造拠点をさがしている時に、社長の母方の仮屋家の父、仮屋さんのおじいさんは、その町で仕事を生み、雇用を作っていきたいと活動をしていたそうです。その想いと、生産拠点を作りたいと考えている新城製作所の思いが一致し、その町に工場用地を確保し、鹿児島で製造を行う株式会社九州新城がスタートしました。

 九州新城の初代社長には仮屋さんの一番上の伯父が就任し、仮屋さんの父が2代目社長になります。その後、大阪の新城製作所からドリルネジの販売部門が独立してピアス販売株式会社が設立されました。

 現在の主力製品「ピアスタ」の開発、販売を行うなど順調に業績を伸ばしていましたが、2009年のリーマン・ショックで大きな打撃を受けます。2011年3月には東日本大震災が起こり、さらなる経営悪化が会社を襲いました。

 その状況から抜け出し飛躍するために、ピアス販売株式会社と株式会社九州新城が合併し「株式会社九飛勢螺」と社名を改め、統合事業が開始されました。

 

 

会社の変革に振り回された仮屋さん

鹿児島で生まれ育った仮屋さんは、九州新城の3代目候補として頑張ってきました。学生時代は大学の先生になりたいと思っていましたが、他の仕事にも興味が出てきました。当時の九州新城の社長をしていた父から「公務員なら認めるが、他の会社に行くのなら九州新城に入れ」と言われ、大学卒業後2年間大阪のピアス販売で修行し、経験を積みに九州新城へ入社しました。

 持ち前の馬力で製造の責任者として頑張る日々を送っていましたが、2013年の会社合併で大阪に来ることになりました。

 鹿児島で生まれ育った仮屋さんは、慣れない街、自分の意志ではなく流されるように来た大阪で、斜に構えるような働き方をしていました。

 

 

経営指針確立・実践セミナーでの指摘

会社の会議などでも文句や反対が多く、斜に構えた態度で社長に反発するような意見をしていた仮屋さんでしたが、次期経営者として何か勉強しなければ、そして、何か変わらなければならないとの思いで同友会に入ります。そしてすぐに経営指針確立・実践セミナーを受講しました。

 そこで、斜に構えている姿勢を見抜かれ、多くの指摘を受けることになります。そのセミナーで仮屋さんの経営姿勢の確立ができ、経営者としての覚悟ができたとのことです。

 そこで学んだこと、現在の自分の会社に対する考えを社長に伝えると「ようやくわかったか」と言われたそうです。社長もこれで少し安心できたのかもしれません。

 

 

会社改革

 セミナーで身につけた感性で社内をみると、いろいろな問題が見えてきました。大きな問題は、合併会社なのでいまだに九州と大阪でベクトルがあっていないことです。かつての自分がそうだったのでこの問題に気づくことができたと言います。

 そこで役員4人で合宿をし、問題を洗い出し、役員4人が全社員と面談を行い、経営方針を作り上げていきました。問題の一つとして会社は社員の方を向いていないことに気づき、福利厚生を見直し、通勤手当などの見直し、社員旅行の検討などの社員に向けた改革を始めました。

 

 

今後の会社の展開

 九飛勢螺の主力商品であるピアスビスは材質や製造方法に特徴があり、痛みが少なく廃棄時にも環境にいいと評価を得ています。

 SDGsにも対応しているとのことで、来年行われる大阪・関西万博の建設物にも多く使用されることになっています。また、このピアスビスの販売先は主にヨーロッパで、特にドイツへの輸出が多い商品になっています。仮屋さんはこれから海外事業への展開を更に強化していくべきと考え、力をいれています。

 

 

地域貢献

 海外を飛び回る仮屋さんですが、経営者としての考えの中に強く「地域貢献」があります。これは地方である鹿児島で育ったことも要因であります。仮屋さんの考える地域貢献とは、まずは「会社の存続」とのことです。

 存続し続けるからこそ地域に会社の存在を知ってもらえ、浸透していくと考えています。何か地域で問題や事故があった時に地域の人々が存在を知っているからこそ、頼りにし、あてにしてもらえると思っています。

 

 仮屋さんは毎朝会社の周りを掃除し、通学中の子どもたちに「おはよう」と声をかけているとのことです。また、七夕の時は鹿児島から笹を取り寄せ、会社の前に掲げ子どもたちに短冊に願いを書いてもらう七夕祭をしています。

 また、昔やっていた地元の方たちを集めてネジの作り方などの体験学習をしてもらう「ピアス祭り」を復活させようと考えています。

 社員をはじめ、地域の人たち一人ひとりが輝く未来を切り拓いていく、これからの九飛勢螺の活躍が楽しみです。

 

(取材:山田/文:山田/写真:山田)

 

 

同友会 私の楽しみ方

 やはり経営指針確立・実践セミナーの受講です。普段忙しさにかまけておろそかになりがちな「自分と会社を深耕する」時間を得たことによって、経営者を考えるきっかけとなりました。また、会員にとっての「同友会とは?」の共通言語になるのもこのセミナーであると感じており、ブロックや支部での役も「同じ言葉を持っている人たち」と話すことでつながりが増えていきつつ、大きな気づきと学びの機会にもなっています。

 そして何より、何でも相談できる仲間ができたことが一番の収穫かもしれません。同友会に入会したなら受けない手はないですよ~!