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Osaka Doyu-Kai

vol.11

ブロック特集「 今こそ、変化の先に踏み出そう!」

自らが喜び、社員が喜び、社会が喜ぶ経営をめざして
~学びを実践しBtoC製品の拡大へ~

Profile

中河内ブロック/東大阪第二支部/2015年度入会

株式会社朝日ワイヤープロダクツ 代表取締役

朴 憲久

所在地:大阪府東大阪市楠根1丁目7-5 / URL:https://www.asahi-wire.co.jp
創業:1948年 / 設 立:1965年 / 資本金:1,000万円 / 年商:116百万円(2023年期)
社員数:11名(アルバイト・パート含む) / 業務内容:フラワー・手芸・包装用ワイヤー製造、付属品企画販売

経営理念

過去から培ってきたワイヤー技術を通じて
自分が喜ぶ
仲間が喜ぶ
社会が喜ぶ
新しい価値を積み重ね
世界の幸福に貢献します

創業からの成り立ち

 朝日ワイヤープロダクツの始まりは戦前、朴さんのお祖父様が仕事を探して韓国から来日したことからでした。当時、既にワイヤーの加工を手掛けていた同郷の知人から仕事を譲り受けるかたちで創業します。のちの1965年に法人設立。

 創業当時、加工技術はあるものの引き合いに恵まれない時期が続いたそうです。しかし、二代目となる朴さんのお父様の代で会社は転機を迎えます。ご近所付き合いの中でのご縁から大手企業との取引が決まり、それをきっかけに受注が拡大します。当時需要の大きかったスタンド式のお祝い花や、ソープバスケットなどの製品に使われるワイヤーの加工を手掛け、時流に乗って業績を伸ばしました。

 

 

三代目就任までの歩み

 朴さんは大学で工学を修めたのち、大手総合電機メーカーに就職しました。デジタルカメラの電気回路設計技術者として、やりがいをもって仕事にまい進します。しかし、次第に大企業ならではのしがらみに閉口し、転職を考えます。

 そして入社から8年、30歳で奥様と生後まもないお子様を連れ、大阪へ帰ってきます。家業に戻るきっかけになったのは「大企業には自分の代わりはいる。でも家業には僕しかいない」という思いだったそう。さらに、自身の頑張りの結果が如実に感じられる経営の仕事にも興味がありました。

 とはいえ、それまで設計者として働いてきた朴さん。設計以外のことはからっきしでした。そこでまずは1年、現場作業員として全製造工程を担当することに。その後は出荷や営業などの間接業務もこなし、仕事を覚えていきました。

自分自身で設計、製作した装置

 

 

 そんな折、現在も手掛けている菓子包装の口を縛るラッピング用ワイヤーの案件を獲得します。これまでの経験を生かし生産のための自動機の設計、製作も行います。

 そして入社から5年後、お父様から事業承継し三代目代表に就任しました。ニッチ市場を中心にどんどん新しい取り組みに挑戦し、売上を拡大します。

インタビューの様子

 

 

同友会との関わり

 同友会との出会いは知人からの紹介でした。お付き合いもあったので断りづらいなと思い、最初はしぶしぶ参加したそうです。しかし、現在の「同友会を知る会」で経営に真摯に向き合う参加者たちの姿勢に感銘を受け入会。翌年には経営指針確立・実践セミナーを受講します。

 ところが今振り返ってみると「当時は経営に身が入っていなかった」と朴さんは回顧します。どこか先代への甘えがあったのかもしれません。セミナー期間中にお父様がご逝去されたことをきっかけにスイッチが入ったそうです。

 しかし、その後新しい取り組みも以前ほどは実らず、赤字まではいかないものの低迷が続きます。さらに畳み掛けるように猛威を奮う新型コロナウイルス。朴さんは「お尻に火がついた」と当時を振り返り、同友会での学びを生かして再起を図ります。SWOT分析で自社の取るべき戦略を明確化。直線加工といった技術的強みの再発見や海外への販路開拓、BtoC製品の開発などに挑戦し、それが見事に結実します。

 

 

みんなで仕事を楽しめる会社を作りたい

 「自身の右腕となる人材の確保・育成が課題」と朴さん。今後の展望としてはBtoC製品のさらなる展開を画策しています。

 同社の経営理念にもあるように社員自身が、一緒に働く仲間が、社会が喜んでくれるものづくりが肝要であって、誰かにしわよせがいくような企業ではいけません。ことがうまく動き出す循環を生むのが経営者です。「今後も同友会活動を通じて、組織運営の学びを自社にもうまくフィードバックしたい」と語ります。

和紙ワイヤー

カラフルな菓子ラッピング用ワイヤー

 

 

取材を終えて

 とても楽しかったです。今回、朴さんとは初めてお話ししましたが、そうとは思えないほど濃いお話が聞けました。最初は「取材か~、不安やな~」と内心思っていましたが、とても貴重な経験ができたと思います。取材する側・される側の両方を経験することで多少成長できた気がします。

 

(取材:上田、中西 文:中西 写真:上田)