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Osaka Doyu-Kai

vol.1

「 一人ひとりが輝く未来を切り拓く企業」

制度が変わろうとも変わらないのは伴走者としての心

Profile

大阪南ブロック/河南支部/2008年度入会

社会福祉法人ふたかみ福祉会 常務理事

石本 悦二

所在地:大阪府羽曳野市駒ヶ谷105番地1 / URL:https://kagayaku-inochi.com
設立:1996年 / 従業員数:91人
事業内容:就労継続支援B型・放課後等デイサービス・共同生活援助・相談支援事業

かがやく命を大切にする社会をつくります

1、「どんなに重い障害があってもこの街で暮らしたい」の取り組みを進めます。
2、みんなの意見を大切にし、働きやすい職場と人材育成に努めます。
3、地域の人々と交流し、地域福祉の発展に寄与します。

温かさにつつまれた事業所訪問

 取材の日に訪問した施設は、就労継続支援B型「ハピバール」。カフェが併設されており、入ると作業所で作られているクッキーやパンケーキが並べられていました。利用者さんが絵柄を描かれたという食器やアクセサリーなども販売されていて、可愛い作品の数々に顔がほころびます。

ハピバールに併設するカフェ

使用済みの色鉛筆もビンにいれるとひとつのオブジェ

店内では利用者さんの作品が販売されています

 

 また、取材に伺ったのは作業が始まる前で、朝の体操や朝礼ミーティング風景を拝見することができました。みなさんで声をかけあって体操をし、その後はグループに分かれて今日の予定を各自が発表していました。少しシャイな仲間に対して「がんばれ!○○さんならできる!」と励ます姿もあり、朝から温かい気持ちになりました。

 

 石本さんは、この「ハピバール」のほか、放課後等デイサービスや相談支援事業などを運営する社会福祉法人ふたかみ福祉会の常務理事で、この日は病欠のスタッフさんの代わりに支援に入っていました。ふたかみ福祉会の立ち上げには石本さんも関わっていて、そのころのお話から伺いました。

企画展覧会「about me7」よりその人らしさが表現された作品の数々

 

 

無認可作業所開設

 石本さんはもともと社会福祉法人をつくりたいという思いを持っていました。福祉関係の大学で学び、卒業後に地元で起業したいと考えている時、羽曳野市で事業所をつくる動きがあることを知りました。市として開設したいという態度表明はあるものの、そう簡単に認可作業所を開設できるわけではなく、養護学校の先生、保育士、障がい者の親御さんなどと「認可作業所を作る会」なるものを立ち上げ、自分たちがめざす作業所をつくるために活動を始めました。

 

 1989年、ようやく羽曳野市の助成を受け、無認可作業所「羽曳野園」を開設。プレハブでのスタートでしたが、行き場を失っていた養護学校卒業生にとっては、行き場があることの喜びとなり、また、石本さんはじめ関係者にとってもこれからの希望となったと言います。

 

 ただ、運営費では大変な苦労があり、補助金や寄付金を募ったり、バザーに出店したりしながらまかなっていたそうです。また、事業所拠点を増やしていくにあたっては、地元の理解が得られないこともあったとのこと。土地の値段がさがるなどと言われたりすることもあったそうですが、こういう施設や利用者も地域とともに歩むことができるはずだという思いから、地域の行事に参加したり、祭りを盛り上げたりすることに努め、大きな信頼を得られるようになりました。

 

 

夢への土台づくり~認可法人設立~

 「羽曳野園」開設から7年後に、認可法人「社会福祉法人ふたかみ福祉会」を設立。現在の体制へと確立していきました。ふたかみ福祉会としての目的は、単に障がい者支援がゴールではなく、障害福祉充実の基礎となることを推進していくことにあるそうです。地域の相談ごとも積極的に受けられるようになりたい思いから、職員や利用者のご家族、大学の先生とコラボして「将来構想検討委員会」を立ち上げ、事業所を通した活動で地域社会にどのようなことができるのかを検討しているのだそうです。委員会メンバーにはプライベートで参画している市の職員さんもいて、真剣に将来について考えておられることがうかがえます。

 

 

理念は自分がためされるもの

 同友会には、理事長であった前任者の後継として石本さんが入会。そして、この春には経営指針確立・実践セミナーを修了しました。経営としての実績もあり、理念に基づいて経営できているとの自負から、セミナー受講当初は軽くクリアできると思っていたそうです。しかし、実際に受講してみると、助言者からの問いかけに、自分は共に働く職員さんのことを全く信頼できていなかったことに気付かされました。理念を作成した際には「理念は自分が試されるもの」という考え方ができるようになり、この理念を共有することで職員さんから指摘してもらえるようになりたいと言います。また、セミナー受講の時期は中期計画策定時期と重なったため、セミナーで学んだ方針や計画をそのまま生かすことができたのだそうです。セミナー受講がご自身や法人の自信となったことは間違いないようです。

 

 

これからのふたかみ福祉会

 ふたかみ福祉会では、10周年と20周年に記念誌を発行しました。変わりゆく世情の中で、ふたかみ福祉会がどんな思いで事業に取り組んできたか、また、支えてこられた数えきれない方々の思いが掲載されています。2年後には30周年を迎え、新たな記念誌が作成されます。障がい者の行き場づくりを目的に始めた福祉事業ですが、視野を地域やその地域に住む方々にまで広げ活動することで、利用者が多方面でますます輝き、活躍できるようになっています。30周年記念誌には新たな歴史が綴られ、培ってきた大切な「心」が後世にまで引き継がれることでしょう。

10 周年・20 周年記念誌

 

(取材:新家、山田/文:新家/写真:新家)

 

 

同友会 私の楽しみ方

 昨年度、経営指針確立・実践セミナーを受講しました。法人設立から30年を迎えようとしているなか、地域に根付いた事業を継続していくうえでも経営指針の必要性を感じていました。受講して「何屋さんなのか」「職員さんと一緒の方向を向いているか」「社会に役立っているか」を考えるようになりました。事業をすすめるうえで問題が多々あるのですが、それを課題に変えることの大切さも学びました。そして実践することの難しさも痛感しています。指針セミナーで学んだことを、理事長を含む5人の管理者間で発表し、次期中期計画策定に動き始めています。

 また、施設の修繕や看板の発注なども同友会会員の方にお願いし、同友会のつながりに感謝しています。