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Osaka Doyu-Kai

vol.4

「 一人ひとりが輝く未来を切り拓く企業」

建築を通じて人のつながりをつくり出す新たな町づくり

Profile

大阪南東ブロック/上町支部/2016年度入会

株式会社 入船設計 取締役

入船 美穂

本社所在地:大阪府大阪市阿倍野区昭和町1丁目17-26
URL:https://irifunesekkei.com
創業:2009年 設立:2011年 / 資本金:660万円 / 社員数:3名(うちパ-ト2人)
年商:5,000万円(2023年3月)
事業内容:建築の意匠設計、シェアワークスペース事業

人とのご縁に感謝し、光輝く街づくりに貢献しみんなの幸せを設計します

入船さんの歩み

 入船さんは大阪市内で生まれ育ち現在56歳です。高校卒業後、美術の世界にあこがれ京都芸術短期大学彫刻課立体コースに進学しました。

 本当はビジュアル科が第1志望でしたが不合格となり第2志望の彫刻科に入学し学生生活を満喫しました。卒業後、美術に関する仕事は多くなく、子どもが好きであることと美術を掛け合わせおもちゃに興味を持ち、木のおもちゃの会社に入社しました。プライベートの時間を活用しイタリア留学に興味を持ち、イタリア語を習いはじめました。そこで出会った友人が設計事務所に務めており、やる気があるなら未経験でもOKと採用されたことから設計の世界に足を踏み入れることになりました。

 しかし、憧れの職業には就けたものの何の下地もなく、右も左もわからず悪戦苦闘の日々が続きました。自身の努力と多くの方々に支えられ2級建築士を取得することができました。その経験を生かしそれまでとは性質の異なる事務所に転職。現在のご主人と出会い結婚と出産を経験しました。

 子育てをしながら「I SHIP」という建築事務所を立ち上げ模型づくりや図面の作成を自宅で行っていました。

 

 

入船設計の前進

 あるきっかけでご主人も長く勤めていた設計事務所を退職し独立を決断。

 独立とともに個人事務所の入船設計を立ち上げ、数年後に株式会社入船設計を設立しました。自宅のマンションの一室で念願の設計事務所を開設したものの、信用もない事務所に設計の仕事が来ることはありませんでした。注文が来るのは単価の安い下請け仕事や作業服を着て建築調査など、思い描いていた設計の仕事とは程遠く、時にはお金を回収できないこともあったそうです。ちょうど、リーマン・ショックで景気も悪く、これ以上悪くなることはないと持ち前の明るさで励まし合い乗り越えられました。

 この時「この先、いい人との出会いがなくては」と考え、自宅マンションから事務所を外に構えることを決心。そうなったら物件探し。「ええ人なら格安でええよ」とオーナーさんにも恵まれ、10坪程度の元飲食店舗を借りることができました。自分たちが自由に設計できることにワクワクし、時間はあったのでペンキぬりなど自分たちにできることはやりました。予算を抑えるために、友だちの手をかり、使用しなくなった家具や照明を頂くなどして、寺田町駅周辺でOPENさせることができました。ここに来たからには地域との関わりを大事にしようと取り組みました。外壁を利用し街が明るくなればと季節のディスプレイをしたり、こいのぼりを飾ったりと工夫。休日には産直の野菜や雑貨の販売を行うなど人々をほっこりさせる入船さんでした。そうすることで通常では入りにくい設計事務所に幅広い方々が舞い込み、多くの出会いによって事業も少しずつ繁栄してきました。

寺田町 旧事務所

 

 

入船設計の思い

 ここで入船設計がどんな建物を設計・監理しているか、またその思いをご紹介します。

株式会社入船設計は大阪・松山を拠点に商業施設やクリニック、店舗と併用住宅の設計を中心に、幅広い用途の設計を行う建築設計事務所です。「お客様と共に考え、共に描く」ことを意識し「こんな建物を建てたいんだ」とか「こういった目的で利用したいんだけど」といった多くの思いをヒヤリングします。そして、その建物を図面や模型にしてお客様の頭の中にある夢を具体化し、違う考え方も提案し計画していきます。まさに「設計事務所はお客様の夢を実現する通訳(工事会社・工務店への)をする仕事だ」と入船さんは語っています。

 また「建築って、実は町にとっての仕掛けにもなる」といっています。

 シンボルにもなる、待ち合わせの場所にもなる、小さくても植物を配置するだけでオアシスができる。そのことを意識し設計することをいつも心掛けています。

 

 

あらたな挑戦

 スタッフも増えて寺田町の事務所も手狭になり、2023年2月に昭和町の文の里商店街内に拠点を移転しました。この場所と建物を選んだ一番の理由は、スペースシェア事業を軸に「未来を切り拓く第一歩」の応援団になりたいというビジョンを実現するためでもありました。資金面では、ちょうどコロナ過ということもあり事業再構築補助金にチャレンジして無事採択されました。

 1階はシェアキッチン、奥にはシェアスペース、2階は事務所、3階はシェアオフィスがあり、ブース形式になっています。

 キッチンにはとても思い入れがあるそうです。創業当時の事務所も、小さいながらもキッチン=会社の「顔」という考えでたくさんの人が集まり多くの思い出が作れる、そんな場所が絶対必要という熱い思いから実現しました。新事務所も同じ思いで設計したそうです。

 また、学生向けの下宿、シェアハウスも考えています。

シェアキッチン

事務所

シェアオフィス

 

 特に建築科の学生の方にとっては建築の書籍が豊富にありますし、設計の仕事を現場で見ることができます。

 また、会社としては模型を作るアルバイトをお願いするなど、共に学べる場も創造しています。

 さらに、商店街の強みを生かした新たな活性化も模索しています。

新事務所外観

事務所内

 

 

将来展望

 今回、事業化したシェアワークスペースを軸に「未来を切り拓く第一歩」の応援団をめざします。自身は今まで多くの試練を経験してきました。いろいろな方と出会い、たくさん助けてもらいました。今度は私の番だという思いです。

 今の時代は当たり前にあった仕事がなくなり、どんどん新しい仕事が生まれてきます。設計も同じで、AIを脅威に感じています。

 ピンチにはものごとを違う方向から見られるヒントがたくさんかくされています。これをチャンスにする風は必ず吹きます。「その風をのがさない大きな帆を常にデザインし、新たな夢を描き続けていきます」と強く語っていました。

 

(取材:樋谷、木村/文:堂上/写真:堂上)

 

 

同友会 私の楽しみ方

 他社の経営に興味を持つことが同友会を楽しむ第一歩だと思います。年齢も違えば職種も違い、経営経験も全然違う人たちが集まります。いろいろな考え方があるがことを認識できます。

 まず、例会に出席しグル-プ討論を楽しみ、グル-プ長になる。グル-プ長は役得です。グループの皆の意見を聞きとりまとめつつも自分の心にひっかる質問を皆に聞くことができます。その上、その質問で続いた討論によって自分にはないアイデアが出たりします。例会は、ALL大阪から全国と、規模の大きな例会に参加できます。

 特に全国大会は宿泊を伴うことが多く、旅行気分を味わいながらの移動中に、普段はあまり聞けないような本音トークが聞けたりして(グル-プ長の経験で話を聞きだすスキルを発揮)人間同士の繋がりも強くなっていきます。全国の経営者の仲間も増えていきます。

 結局は人とつながることを楽しむ!これが私の同友会の楽しみ方です。