Profile
大阪北ブロック/三島支部/2018年度入会
株式会社サンスポーツコンディショニング 代表取締役
石川 陽一
本社所在地:大阪府高槻市南平台 / URL:https://sunsportsconditioning.com
設 立:2015年 / 資本金:500万円 / 従業員数:49名 / 年 商:約2億円(2023年度)
事業内容:鍼灸治療事業、リハビリデイサービス事業、生前整理相談事業、民間学童保育室事業
明るく響く子どもたちの声と従業員のみなさんのイキイキとした笑顔。デイサービス利用者のはつらつとした笑顔。たくさんの笑顔があふれる石川さんの職場は、どのようにして成り立っているのでしょうか。
現在の事業状況
株式会社サンスポーツコンディショニングは鍼灸治療院とリハビリ型デイサービスを主軸とする医療・介護サービス企業です。2013年の創業以来、現在は従業員49名、年商約2億円規模にまで成長しました。主な事業内容は、訪問鍼灸マッサージ、高齢者向けの短時間型デイサービス、そして2024年4月より開始した運動特化型の学童保育です。
営業範囲は大阪府が中心であり、2024年9月には沖縄県にも進出しました。顧客層は主に高齢者で、従業員として30代前半の主婦層が多く働く会社です。
創業から現在にいたるまで
創業当初は鍼灸治療院1店舗からスタートしましたが、現在は8店舗まで拡大しています。この成長過程において、以下のような変化がありました。
まず、事業の多角化が挙げられます。鍼灸治療院から始まり、デイサービス、介護事業へと展開してきました。組織体制も大きく変化し、事務局や経営戦略室も創設されました。
人材育成においては、主婦層を中心とした従業員の能力開発に注力してきました。経営手法も進化し、フランチャイズ展開の試行錯誤を経て、現在は直営店舗に集中する戦略を取っています。
財務管理においても変化がありました。当初は無借金経営を志向していましたが、現在は戦略的な融資活用も行っています。
特筆すべきは、コロナ禍においても事業を拡大できたことです。他のデイサービスが閉鎖を余儀なくされるなか、感染対策を徹底しながら営業を継続し、むしろ成長の機会としてコロナ禍を活用することができました。
経営に携わるきっかけと同友会との出会い
経営に携わるきっかけとなったのは、プロスポーツトレーナーとしての経験だったそうです。複数のプロスポーツチームでトレーナーとして勤務するなか、社会情勢の変化に左右されない事業の必要性を強く感じるようになりました。
特に、リーマン・ショックや東日本大震災の影響でスポーツチームが縮小や解散に追い込まれる様子を目の当たりにし「社会情勢に影響されにくい事業を作りたい」という思いが強くなりました。
強い思いをもって立ち上げた事業でしたが、多店舗展開に取り組むなかで大きな壁に直面します。経営に悩んでいた2018年、偶然手に取った書籍で同友会と出会いました。その書籍に書かれていた同友会の理念に共感し、即座に入会を決意しました。
事業とともに変化・成長する経営者
創業当初は自身のスキルを生かすことに重点を置いていましたが、事業が拡大するにつれて「人を生かす経営」の大切さに気づきはじめます。2019年に受講した同友会の経営指針確立・実践セミナーを通じて、経営者としての覚悟や従業員への向き合い方について深く考えるようになりました。
「プレーヤーからマネージャーへの転換」を意識的に行い、自身がスポットライトを浴びるのではなく、従業員一人ひとりの能力を引き出し、輝かせることに注力するようになりました。
「人を生かす経営」の体現
石川さんが最も大切にしているのは「人を生かす経営」です。主婦層を中心に、さまざまなバックグラウンドを持つ人材の活用に力を入れ、子育て中の従業員でも働きやすい環境づくりに注力しています。従業員の強みを生かした役割分担と成長支援を行い、一人ひとりのキャリア開発を支援しています。
また、介護や子育て支援など、地域社会のニーズに応える事業展開を通じて、社会課題の解決にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、安定した収益構造と戦略的な事業拡大による持続可能な経営を実現しています。
サービス利用者に対しても、単なるサービス提供にとどまらず、その先にある利用者の「人生の質の向上」をめざしています。例えば、デイサービスでは単に体を動かすだけでなく、利用者の生活目標(旅行に行きたい、孫の結婚式に出席したいなど)の実現をサポートすることで、モチベーションの向上と効果的なリハビリを可能にしています。
鍼灸治療
リハビリ型デイサービス
将来に向けて
現在、2024年4月に開設した運動特化型学童保育に力を入れて取り組んでいます。これは、鍼灸師としての知識とスポーツトレーナーとしての経験を生かし、子どもたちの運動能力と知的発達を促進する新しいタイプの学童保育です。しかし、主婦層が多い職場環境で、リーダーシップを発揮できる人材の育成に苦労しており、直近の課題は管理職の育成です。
運動特化型学童保育
将来的な目標は「テーマパークのような老人ホーム」を実現すること。高齢者と子どもたちが交流できる場所を作り、世代を超えたコミュニティーの形成をめざしています。
(取材:山野、岡坂/文:岡坂/写真:山野)
同友会 私の楽しみ方
同友会は私にとって学びと刺激の場であると同時に、自身の経営哲学を再確認し、深める貴重な機会となっています。特に「人を生かす経営」の実践例を学べることが大きな魅力です。さまざまな業種の経営者との交流を通じて視野が広がり、自社の取り組みを客観的に見直すきっかけにもなっています。
経営者としての覚悟を再確認する場としても重要で、失敗談を含めた率直な経験共有ができる環境が非常に有意義だと感じています。「学びのない例会は面白くない」と考えていますが、同時に同友会の「緩さ」や「自主性を重んじる」点も高く評価しています。
以前所属していた他団体での経験と比較すると、同友会では各経営者の個性や考え方を尊重しながら、互いに学び合える環境があることが大きな特徴です。この柔軟な姿勢が、私自身の成長や会社の発展に大きく寄与していると感じています。同友会での経験を通じて、経営者としての視野が広がり、新たな挑戦への勇気をもらっています。