Profile
中河内ブロック/東大阪第三支部/2022年度入会
小椋工業株式会社 代表取締役
小椋 弘亜
所在地:大阪府大阪市淀川区三津屋北/URL:http://ogura-op.co.jp
創業・設立:1997年(2004年:株式会社へ組織変更)
資本金:1,000万円/年商:4億7,000万円/社員数:36名(アルバイト・パート含む)
業務内容:金型部品 (モールドベース、ダイセット、ホットランナー) 、生産設備部品 (ベースプレート、プラテン、ブロック) 製造
社長就任を決意した裏にあったのは同友会の存在
前社長の旧態依然の体質や多額の負債を小椋さんは把握しており、28歳のころから社長交代を打診するも、実際の社長就任は42歳の時でした。当時を振り返り、小椋さんは「そのころはおいしいところだけ残してあとは切り捨てる」という考えがあったと言います。経営者としての覚悟がなく、社員に対しても対等な目線で見ることができていませんでした。その本質的な部分に気づけたきっかけが、例会や小グループ会などの同友会活動で、その影響は小椋さん自身にとって大きかったといいます。気づきを踏まえ、前社長であるお父さんへ「一番よく頑張ってくれている古参のメンバーに苦労ばっかりかけているから、小椋工業でいい未来を見せてあげたい」という思いを伝えます。お父さんもその思いに共感してくれたので、小椋さんは「ならば、そのためには会社がよくならなければ未来像を見せられない、お父さんが会長、自分が社長の体制で、協力し合ってやりませんか」と打診。そこから小椋さんの経営者としての道のりがスタートしました。
全社一丸で取り組む再建への道
まずは財務の部分を改善すべく、社員との数字の共有を徹底し、「小椋工業を大切にしてくれて必要としてくれるお客さんに集中することに意味がある」ということを落とし込んでいるそうです。そして、がむしゃらに売上を追いかけるのではなく、確実な利益体質をどのように確立していくのかを社員と共に見つけていくために、加工技術・品質管理・時代の特性を加味した指針書を作成し、実践中だそうです。また社長個人の1馬力よりも、会社全体の36馬力で進む方が会社の成長スピードが速いと考えており、会社一丸となって取り組む姿勢を大事にしています。
社員と共に作成した指針書と実践
小椋さんは現在、経営指針確立・実践セミナーを受講中。ですが、受講前に同友会活動を通じて、経営指針書の作成を決意したそうです。「モノづくりへのこだわりを追求し、会社の環境と社員を豊かにしたい」という思いを込めた指針書を作成すべく、幹部社員を巻き込み3カ月間週1回の会議を重ねて作成したそうです。指針会議を通じて、みんなが思う小椋工業の強みについての棚卸しや品質・製造についてのアウトプットを社員間で共有できたことで、会社の方向性が確立できたと小椋さんは言います。現在は1カ月に1回、外部の方を招き数字の勉強会・数字の共有・予算の進捗などを確認する方針会議を実施し、指針書の内容が一つでもカタチにできているかを振り返っているそうです。指針書の作成、方針会議による進捗見直し・数字の共有が功を奏し、利益体質の確立へと、着々と結果につながっています。
今後のビジョンと小椋工業で働くメンバーへの思い
「3年ビジョン」・「10年ビジョン」を掲げており、その内容は「安定財務が達成できた際に自社工場の設立」「働くメンバー全員が作業者ではなく、スペシャリスト・ジェネラリストになれる環境にし、仕事に誇りをもてる企業」など、小椋工業と社員の未来を明るく照らすようなものばかりです。そのビジョンを達成すべく、小椋工業の強みが最大限生かせる生産体制への改革・自分たちが思い描く人に巡り会えるような社内体制づくりなど「強い会社にする」取り組みを実施しています。ビジョンの達成へ向けて行動していくのはもちろんですが、経営理念にも含まれている「人の心と暮らしを豊かにする」という部分の仕事以外の時間を小椋工業のみんなには、大切にして充実させてほしいと、小椋さんは話していました。今後の小椋工業に乞うご期待です。
(取材:上田、目黒/文:目黒/写真:上田)