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Osaka Doyu-Kai

vol.10

経営本部

よい会社をめざす『多様なる雇用』に取り組んで 物流業務の受注・梱包・発送を一括引受

Profile

大阪東ブロック/ 大東支部

(株)フリーセル 代表取締役

山口 豊

企業名:(株)フリーセル
所在地:大阪府東大阪市加納
創  業:2004年11月
設  立:2009年 1月
資 本 金:1000万円
年  商:8億円(2018年12月期)
従業員数:正社員12名、パート50名、外国人実習生9名
業務内容:物流梱包業、物流システム構築、物流加工

ここ数年売り手市場と言われる雇用環境の中、新卒だけではなく、中途採用、障害者雇用や外国人雇用も視野にいれる必要があり、大阪同友会も2019年度の議案で「多様な人材」との文面で課題を提言する予定です。今回は、東ブロック大東支部の株式会社フリーセル代表取締役山口さんに多様な雇用について話を聞きました。生駒山脈の麓、生駒山が東に大きく見える東大阪市加納に本社があり、隣接する大東市御供田に一つと加納に四つ、合計3000坪の倉庫を持つ、株式会社フリーセルは顧客の商品を預かり、管理し、梱包して発送する、物流倉庫業です。

 

創業から設立

同業のサラリーマン時代を経て、2004年11月にフリーセル物流センターとして堺市の美原に50坪の倉庫を借り、内職をあっせんする仕事からのスタート。しかし、年が明けた1月に、急に仕事がなくなります。なんとか仕事を確保するため、したことのない営業で走り回り、1年後の2005年11月にファンシーグッズを取り扱う会社に巡り合います。東大阪市水走に場所を移し300坪の倉庫で新たにスタートしますが、半年過ぎたあたりに取引を中止し仕事が無くなります。もう会社をたたもうと考えていたところ、新規の引き合いをくれていた会社との仕事の話がまとまり何とか復活することができました。

 

人材の確保はいつも課題

2009年1月に会社を設立し社名を「株式会社フリーセル」に変更。その後なんとか軌道にのり、大東市御供田(550坪)に場所を移した後、隣接する東大阪加納に広げていき、本社を加納に移して合計3000坪まで拡大させています。現在正社員12名・パート50名・ベトナム実習生9名の大所帯ですが、創業当時から絶えず人の確保は課題でした。創業時は内職あっせん業で、出来高制ということもあり、募集すると人は集まってきていましたが、山口さんは商品の回収で走り回っているので、当時赤ちゃんであった長男をベビーカーに乗せながら奥さんが面接をしていたそうです。現在の業態になった後は、弟さんが社員として入社しましたが、意見の食い違いで退社するなどの苦労も経験しています。
今の時代、飲食や店舗の業態ではパートの確保が厳しいと言われています。フリーセルの社員の男女比は2対8(正社員の男女比は4対6)と女性が多い職場です。働く時間帯や出勤日数を自由にして、パート側として働きやすい環境を作ることで人を確保しています。しかし、出荷の商品を集めるピッキング作業、梱包作業と体力が必要で、業務中は絶えず仕事に追われている状態なので、若い新しい人はなかなか続きません。それに対してはピッキングと梱包のシフトを1日の中で変えるなど、いろいろな工夫をしています。

 

柔軟で多様な雇用と社員教育

何事に対しても動きの早い山口さんは、同友会の活動の中で聞いたことはすぐに実行に移します。同友会でキャリア支援が始まったころには高校生の新卒採用。同じ大東支部でベトナム実習生に取り組んできた会員の話を聞くと、すぐに会社に訪問し教えてもらいベトナム実習生を採用、現在3期目で9名を雇用。また、大東支部では障害者雇用に対しての例会を毎年行っており、そこでもすぐ行動に移し、たまがわ高等支援学校から1名の人材を雇用。その他にも70歳代の男性を1名雇用するなど幅の広い雇用をしています。最近では、東ブロックの経営委員会の中で事務局員から「大阪わかものハローワーク」の情報を教えてもらい、次の週には早速出向き現在2名を採用しました。このように、情報を活かし柔軟に幅の広い雇用をしています。社員教育について山口さんは何もしていないと謙遜しますが、取材中の現場で見た作業風景では、全社員が小走りで動きまわる姿や皆さんがしてくれるあいさつから、教育の一環を垣間見ることができました。そんな社員さんたちに対して、年2回の社員さんの家族も参加するバーベキューや、パートさんや派遣さんにも声をかけ2年に1回の社員旅行を行っています。今年は社内の休憩室をリニューアルして、社員食堂を兼ねた社員がくつろげる空間を作ることを計画しています。

 

実践情報を同友会の仲間にフィードバック

山口さんは同友会で得た情報をすぐに行動に移し成果をあげていますが、得るだけではなく、仲間に対して自分の体験を提供しています。最近の支部例会では、行事案内で前に出てわかものハローワークの情報を発信したり、昨年はたまがわ高等支援学校の見学会の情報を発信したりしてくれています。今回の取材中には、たまたま天王寺支部のエスエス保険センターの亀多さんが、わかものハローワークの資料をもらいに来社されました。支部を超えて同友会仲間に情報発信してくれています。また、東ブロックでは経営指針確立実践セミナーで、実経験を交えた自社経営を語るセミナーのリーダーとして活躍しています。

 

フリーセル名前の由来

フリーセルの名前はフリー「自由」とセル「細胞・細かな」を合わせた名前です。「フリー」からは、パートさんの働く時間などからも自由に働ける社風。「セル」は細やかな仕事の意味があり、細胞は増殖していく意味として名付けたそうです。フリーセルは50坪の倉庫からスタートして150坪、300坪、そして現在は3000坪と増殖していることからセルの意味に深みを増してきています。現在の物流倉庫業とは別にこれまで雇用に対して築いてきたノウハウを活かし、人材紹介業も手がけていこうと計画しています。ますます増殖するフリーセル山口さんの今後が楽しみです。

(取材:西岡文:山田写真:田村)