
Profile

大阪東ブロック/大東四條畷支部/2005年度入会
ナイトー金属株式会社 代表取締役
内藤 哲也
所在地:大阪府大東市新田旭町6-7
URL:https://naito-metal.co.jp
創 業:1970年 / 設 立:1972年 / 資本金:1,000万円 / 年 商:15億円(2024年度) / 社員数:14名
事業内容:金属全般卸売、ステンレス鋼板加工販売、建築資材販売、ステンレス薄鋼板在庫販売、シャーリング保有、建築土木資材販売
・私達は品質の安定した金属材料の販売を通じて社会のあらゆる工業製品の生産に寄与し、物資の安定流通を担います。
・私達は人と人との繋がりを大切にし、後進を育み一同が物心両面満足できる様努めます。
親子3代、ステンレスメーカーとの関係
内藤さんは、大学を出たあとステンレスメーカーに3年間勤め、父親が経営しているナイトー金属に入社しました。創業者であるお父様もそのステンレスメーカーに勤めており、独立をしてナイトー金属の前身であるナイトー金属商会を立ち上げられました。
現在、内藤さんの息子さんが跡を継ぐため、修行としてそのステンレスメーカーで勤めているとのことです。
このことからも、内藤さんはそのステンレスメーカーとのつながりが非常に深く、内藤さんの人柄を感じさせられます。また経営理念の中にある「人と人との繋がりを大切にし」の実践がわかります。
苦しい経験
代表を引き継いだ内藤さんに2003年悲劇が訪れます。不渡りの事故が4件立て続けに起こりました。合計1億4千万円、とてつもない金額で内藤さんはがくぜんとしていました。走り回り急場をしのぎ、悪戦苦闘し、なんとか会社を立て直すことができました。この時に一番つらかったのは、一部の仕入れ先からの見る目が変わってしまったことでした。納品が止まってしまい、現金引き換えで品物を引き取ったこともあり、非常に悔しい思いをしたとのことです。
この出来事で内藤さんの社員への思いが変わりました。この間に一人の社員はやめてしまい、そこでも悔しい思いはしたのですが、残った社員たちはこれまで以上に頑張って会社を盛り上げてくれたとのことです。内藤さんはこれまで「みんなが居てくれることが当たり前」で深く考えることはありませんでした。しかし、不渡り事故のあと、みんなが当たり前のように仕事を頑張ってくれていること、みんなが居てくれていることへのありがたさに気づくことができました。
同友会との出会いと学び
そのころ、内藤さんは何人かに同友会に誘われていました。一度行った例会ではあまり心を打たれなかったのですが、次に誘われた例会では、売上が95%ダウンしても前を向いて頑張る経営者の報告を聞き、入会することになりました。
同友会入会後すぐ「人を生かす経営」の言葉を聞いたときに、自分が社員や周りの人たちに生かされていたのだと感じたことを今でも覚えているとのことです。
会社の骨格になる理念
入会後、2007年に経営指針成文化セミナー(当時の名称)を受講しました。理念を考えている時に頭に浮かんだのは、不渡りを出し自分が悩み抜いて、会社、社員たち、得意先のことを考えたときのことでした。頑張ってくれた社員たちを守るため、会社がずっと続いていくためには、会社の骨格になるものが必要なこと。その思いで浮かんだ言葉が「後進を育み一同が物心両面満足できる様努めます」の言葉でした。
自分や社員たちの判断基準を明確にしたい。これがナイトー金属の骨格になっているとのことです。
進化し続けるナイトー金属
現在も内藤さんは会社を進化させ続けています。ホームページのリニューアルを行い、現在は評価制度に取り組んでいます。また、知的資産経営にも取り組もうと考えています。
社員、顧客の安心を考えたBCP対策にも取り組んでいます。他府県(群馬、千葉、広島)の同業種企業と連携協定書を交わし、顧客に対して供給を止めない、安心して任せてもらえるように取り組んでいます。それが社員の安心にもつながると考えています。
一番大きな進化として、現在新工場を建てる計画をすすめています。東大阪で390坪の敷地での新工場で、現在は設計段階に入っており、2026年4月に完成の予定です。
安心して安全に働ける職場環境
新工場のビジョンは5年前からすすめており、いい土地を探していました。現在の土地ではレイアウトなどの制限で材料の置き場や機械の増設に限界があり、会社を発展させていくためにも大きな工場が必要でした。この新工場の計画に対して、ある社員からは「そんな投資して大丈夫?」との意見も出ましたが、将来を考えて実行にいたります。
また、もう一つ背中を押した出来事があります。コロナ禍の最中にある社員が子どもを連れて出社してきました。道路に面した狭い駐車場の門を閉めて、そこで子どもが遊んでいました。それを見た内藤さんは、もっと大きな工場なら、安心して安全に走り回り、遊ばせてあげられるのにと思い、新工場計画をすすめることを決意したそうです。
社員の将来を考えた設備計画
新工場ができたら新たな設備を計画しています。現在のナイトー金属が持っている機械の板厚切断能力は0.3㎜から3.0㎜です。まずは6.0㎜まで切れる機械の導入を計画しています。その次は0.3㎜未満の板厚を切る機械です。0.3㎜以下になると「薄板」といわれるものから「箔」といわれるような世界になります。現在の社員が年を取った時に重い板はもう持てなくなります。しかし、箔といわれるような薄い材料なら力は要らない。だから年を取っても働き続けられる。それがこの機械導入を考えた理由です。
すべてが、社員たちが将来も安心して働き続けられる会社。社員たちの安全基地になる会社をめざしています。
(取材:大西・山田/文:山田/写真:大西・山田)
同友会 私の楽しみ方
同友会は勉強会の仲間でもなく、趣味の仲間の集まりでもない、また、スポーツをする場でもなく学問をする場でもない、しかし同友会仲間が集まる場所では、会社の話、社長業についての話が飛び交います。そこで自分が納得する話があったりします。自分はその時間を楽しく感じています。同友会仲間が集まる場は自分の考えを確認する場であり、アドバイスがもらえる場であると思っています。