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Osaka Doyu-Kai

vol.2

特集「 今こそ、変化の先に踏み出そう!」

出会いによってひらけた 経営者の扉

Profile

中河内ブロック/八尾支部/2021年度入会

株式会社花と樹 代表取締役

森田 圭吾

所在地:大阪府八尾市桜ヶ丘
URL:https://hanatoki.jbplt.jp /創業:2017年/設立:2017年6月
年商:1億2千万円(2022年5月期)/社員数:21名(アルバイト・パート含む)
事業内容:ケアプランセンター事業、訪問看護ステーション事業、コワーキングスペース運営

経営理念

人生を豊かに! 自分の人生、身近な人の人生、お客さんの人生、花と樹の人は、人生を豊かにすることを追求する。

創業の理由・経緯

佐藤(岳):創業の理由を聞かせてください。

森田:創業の理由は、自分で自由に働きたかったからですね。いろいろな人に出会って、自分で自由に働いてみたいという気持ちと、雇われている中でいろいろな人のせいにしたり、会社のせいにしたり、文句言いながら働いているときに、同僚の人に「そのあとはもう自分でやるしかないで」と言われたのが一つ大きなきっかけになっています。いつか独立したいという気持ちが芽生えてきて、ケアマネージャーから簡単に比較的に小さく安く独立できるというのがわかったんで、独立しました。

特に大きな理念とか崇高な考えはなくて、本当に自分のためだけに自由に働きたいっていう気持ちだけで独立したという感じです。

 

佐藤(岳):経営する中で、いろいろあったと思いますが、特別なエピソードはありますか。

森田:経営とか何も考えずに、ただ単に会社を自分で作って粛々とケアマネージャーという業務をこなしていくだけやと思ってたんですけど、そこで岳登さんに「やおんど(任意の経営者の集まり)」に誘ってもらいました。経営とか理念とか社会性のようなことを説かれて、自分の中でも経営を知りたいというのもあったんで、やおんどに入らせてもらいました。同い年の先輩経営者の小泉さんや岳登さんという二人が既に数歩前を歩いていたんで、ちょっと斜に構えながらも影響を受けていったというのが大きいですかね。

 

佐藤(岳):経営する中での課題はどんなものでしたか。

森田:やりだしたときは何も考えていなくて、母が手伝ってくれたんですが、一緒に机を並べて二人でやっていると、やっぱり親子だから文句しか出てこない。最初はそれが課題でしたね。

 

佐藤(岳):二人で始めて、徐々に人を雇っていったんですか?

森田:ちょうど1年経ったころに利用者さんも増えてきて二人では抱えきれなくなってきて、初めて求人をハローワークで出したんですよ。そしたら経験のあるケアマネージャーが二人来てくれました。手取りが16万くらいやったんですけど、それでもいいですって言ってきてくれた最初の二人に感謝しています。

 

 

同友会と指針セミナー

佐藤(岳):同友会にはなぜ入会したんですか。

森田:同友会は最初、岳登さんが誘ってくれてゲストで参加したとき、社員はまだ4人でした。ただ、例会に参加させてもらっても特に何も感じなかったし、必要ないと思ったんで断ったんです。1年ぐらい経ったときに従業員も増えて創業のときから明るく楽しく仲良くといった思いを掲げてやっていたんですが、人が増えるにつれて社内でいざこざが出てきました。そのいざこざをほったらかしにしていたら、ある日創業のときに最初に来てくれた社員が爆発してしまって、もうどうしていいかわからんとなってしまいました。そのとき訪問看護もできていたんで社員は8人ぐらいになっていました。自分自身ではどうしていいかわからないときに、やおんどでずっと理念、理念って言うてたこともあって「理念を作らないといけない、そういえば同友会で理念のことやっていたな」と思いだして、自分から「同友会に入りたい」と言って、岳登さんを通して入会したんです。

 

佐藤(岳):同友会に入って指針セミナーを受けたときの感想は。

森田:受ける前から何か「これを受けたらどう変わんねやろ」という期待しかなかったんですよ。第2講の自分の思いとかを話すときに、助言者の檜尾さんに「あなたは、今の仕事が好きなんですか?」というようなことを強く言われました。確かに今までずっと考えていたのが、従業員を大事にとか、生活を守るといったことで、利用者をどうするかということに全然触れていなかったなと思ったんです。そっちのことも大事にしていかないといけないなというのはそこで気付かされました。その気づきは大きかったです。

 

佐藤(岳):指針セミナーでのエピソードは。

森田:1日8時間ぐらい自分と向き合うことや、先輩方が何か引き出すようにいろいろ質問してくれたり、少し強めの言葉を言ってくれたり、同期の仲間がいるんで、絶対一人じゃ全部やろうと思ったら続いていないと思うし、折れていると思うんです。先輩方や同期の人がいるから続いたと思います。セミナー受講を全部終わって、そこでは納得できる理念が考えられなかったんですけど、その後の実践会でも、常にどこかに「理念どうしよう」というのがあって。常にそれを考えているような状態で、実践会の報告をせなあかんから進まなあかんというか、やらなあかんというふうになってやれている感じですかね。

 

佐藤(岳):社員さんたちの前で経営指針を発表したときの感想は。

森田:感想は、準備不足が一番ですかね。こんなん言うたところで、ええことばっかり言うて何言うてんねんって思われるやろなっていうような気持ちで、言いたくないけど言わなしゃあないから言ったというのが一番。言い終わったあとは、いろんな感想もありました。でもそれを次はもっとちゃんとして、みんなに納得してもらえるようなかたちにしてやりたいなという気持ちも出てきました。

 

佐藤(岳):発表したあとの社員さんの変化は。

森田:一つは悪い方で。「あんな理念を掲げてんのに言うてることと反対やん」って言われることもありました。もう一つは良い方で行動方針、計画方針とか細かい、こういうときはこんな人間であってほしいっていうのを何個か覚えてくれていて、考えているよりも実践の方が大事ですよねとか、こういう人であってほしいというところを何個か覚えてくれている人もいました。大変やけどこれも言い続けていかなあかんなというふうに思いましたね。

 

 

今後のビジョンと思い

佐藤(岳):今後のビジョンや、思いについて聞かせてください。

森田:介護・障害というのは、生活がマイナスになっているから必要なサービスというか、プラスになるようなイベントとか飲食とか、そういうこともやっていきたいです。大きくは施設と家の間のようなものを、いつかはやりたいなというふうに思っていて。それも別に施設じゃなくていいんです。長屋とか安くで借りるようなところをそういう人の住まいとして、自由に死ぬ瞬間までその人っぽくおれて、自由に死んでいくというか、その人らしく死ねる場所。施設に入ったら安全は確保できるんですけど、皆さん自由に外でたらあかんとか、コロナで面会もちょっと厳しい状態ですが、酒飲んでタバコ吸うて寿命縮んでも自由にできるような、最低限の生活はこっちでサポートできるようなところができればなというふうに思います。

デイで働いていたときに、認知症のおばあさんがいてはったんです。そのおばあさんは娘さんといい関係やって、娘さんは「すぐ忘れるやん」みたいなことを平気でおばあさんに言うんです。でも、そのおばあさんが「忘れるけど、その瞬間は楽しいからいいやん!」みたいなことを自分で言いはったんですよね。それで確かに、その瞬間瞬間は忘れるけど楽しいんやなと思って。だから死ぬ瞬間どうあるかというのも、大事ですよね。

 

 

取材を終えて

佐藤(岳):介護福祉とか障がい福祉というところで、ほんまに何かやりたいというビジョンが大きくなってくる人は、最後は受け皿的な、それこそいろんなデザインがあって、マイナスもプラスも両方に関わってあげたいということが思えるような、ワンストップで全部安心できるような、そんなコミュニティーを作れたらいいなって思いますよね。

 

森田:本当にそうですね。仕事だけで考えると、保険事業って安定はしていると思うんですけど、でも国の方針に従わないといけないし不安な面もあるんで、やっぱり保険じゃない商売もちゃんと強くなっていきたい気持ちもあるんですけど、そこは今の一番の課題です。

佐藤(岳):森田さん、ありがとうございました。

(取材:佐藤(岳)、赤坂/文:佐藤(岳)/写真:赤坂)