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Osaka Doyu-Kai

vol.8

特集 「 経営指針・10年ビジョンって何?ビジョン2020との関連は?」

社長の奥様から経営者に変化

Profile

大阪東ブロック/大東四條畷支部/2012年度入会

河陽電線(株) 代表取締役常務

小笹 史美

所在地:大阪府大東市灰塚
URL:https://koyodensen.co.jp
創業:1955年
資本金:1,000万円
年商:1億6,150万円(2021年)
社員数:7名
業務内容:各種ビニル電線・キャブタイヤケーブル・電線端末加工 製造・販売

企業理念

私達は、電線を通じて、お客様に安心・安全・喜びをお届けできるものづくりを目指します。 私達は、共に考え共に成長し、日々、感謝の心を持ち、当社にかかわる全ての人々が笑顔であり続ける企業体を創造します。

大阪府大東市の古い町並みの住宅街である灰塚に社屋を構える、河陽電線株式会社小笹史美さん(以下小笹さん)を取材しました。60年以上にわたり電線製造、末端加工までの一貫製造を行っている河陽電線は現在2代目の小笹睦博氏(以下小笹社長)が代表取締役社長をしています。小笹社長に嫁いできた小笹さんは、週に数回、経理・事務を手伝うかたちで河陽電線に入社しました。すぐに子どもができたことで家庭中心の生活となり、会社のほうは手伝う程度の勤務状態でした。また、そのころ体調を崩し、一度会社を離れ家庭と療養の生活を送っていました。

 

社長の奥様から経営者になるきっかけ

下の子どもが保育所に入った時に、フルタイムで働くようになりました。それからいろいろなところにも顔を出すようになります。2013年、大東市である集まりがあり、そこにいた同友会会員に声を掛けられ同友会を知ることになります。それまでは「社長の奥様」として会社に関わっていましたが、同友会は経営者という知らない世界に入っていったような感覚でした。同友会に参加すればするほど自分が変わらなければとの思いになり、他支部への例会にも積極的に参加をしていきます。

 

経営指針との出会い

どんどん例会に参加していると、同友会の経営指針確立成文化セミナー(当時の名称)を知ることになりました。当時はAコース(理念)・Bコース(方針)・Cコース(計画)をそれぞれ一泊二日で行う形態でした。Aコース、Bコースと受講しましたが、経営者としての姿勢や責任を知れば知るほど怖くなってきて最後のCコースを受けるのに時間を要してしまいました。

 

指針セミナーへの関わり

なんとかCコースを受講したあと、ブロックの経営委員長から「名前だけでもいいから経営委員会に入ってほしい」と依頼があり、経営委員会に携わることになりました。それがきっかけで、指針セミナーの助言者として参加するようになりました。当時は大阪全体で新しい形態の指針セミナーを行う時で、大阪全体で行う最後の指針セミナーでは、第5講(方針策定)の項のリーダーも経験しました。

 

経営指針書の重要性を知る

徐々に経営委員会の中心メンバーになってきたころ、ブロックの経営委員会にも多くの人が参加するようになり、指針書について議論をする機会が増えてきました。また、そのころ同時に顧客であるパナソニックから、環境への取り組みの要請があり、環境マニュアルを作ります。その行動計画が、初めて自社で作った経営指針書になりました。形は違いますが、目標を決め、行動計画を作り実践していくことの大切さを知ることになりました。経営委員会、指針セミナーに関わり、学びと実践で「社長の奥様」から「経営者」として小笹さんは変化をしてきました。

 

ビジョンから生まれた自社商品「ロケナビワイヤー」

河陽電線は大東市灰塚の本社工場と寝屋川市の工場があります。2017年、これを一つにして効率を上げるビジョンがありました。その資金融資を受けるために経営革新を取ることになりました。工場を一つにまとめて効率化を行うテーマで経営革新を取ろうと考えていましたが、それでは無理と言われテーマを再度考えていました。その時に、以前から小笹社長には導電性電線のテーマがあり、それが経営革新にピッタリということで本格的な開発に取り組みました。導電性電線は被膜に微弱な電流が流れる構造で、地中に埋められた電線が見つけられるというものです。その後、ものづくり補助金を受け、2020年に新たな工場を借り、専用の機械を導入し製品化しました。製品化してから、規格などのデータを取るために新たに設備投資を行い、2021年に自社商品「ロケナビワイヤー」として商品化しました。その年に初めて本格的な展示会に出展し、2022年も認知度を上げるために大阪、名古屋、東京の展示会に出展します。また、2022年11月から東大阪にあるものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)の常設展示場に出展が決まっています。「ロケナビワイヤー」は、地中に埋めた電線の場所がわかることを主体にした商品ですが、展示会などで、違う分野から全く違う使い道が見つかるかも知れないとの思いもあるようです。

2022年 大阪の元気!モノづくり企業 認定

 

一歩一歩確実に進化

小笹さんは経営委員会の中心メンバーになっている今でも、指針セミナーに助言者として参加するときは、毎回受講者にアドバイスしながらも、同じフォーマットに自社の方針、計画を書きこんでいます。小笹さんは控えめで、いつも「私なんか…」と言っていますが、5年の期間で振り返ると経営委員会に携わるメンバーの中でも一番会社と自分を変化・進化させている人です。(取材・文:山田/写真:佐藤)